ビジネス

2018.05.16

構想から5年、ファッションECモールは「今」がベストタイミングだと思った

ストライプインターナショナル、石川康晴社長



提供したかった「2つ」のソリューション

ストライプデパートメントを通じて提供したかったソリューションは2つあります。ひとつめは、「全国どの地域に住んでいても新宿伊勢丹を体験できる」ようにすること。これは、僕たちがスタートアップのときに掲げていたスローガンでもあります。

──「新宿伊勢丹を体験できる」と言いますと?

いま全国には約230店舗の百貨店があるのですが、だいたい1年に4店舗ずつ閉店しています。だから、百貨店がない地域って意外とたくさんあって。九州や北陸にも百貨店がない地域がありますし、意外かもしれませんが、仙台にも百貨店がないんですよ。

なので、まずは「百貨店がない」、もしくは「あるけど規模が小さくてお気に入りのブランドの洋服が手に入らない」地域の人たちに、新宿伊勢丹のような「大きい百貨店」の価値を届けたかったんです。

──もうひとつのソリューションは何でしょうか。

もうひとつは、BtoBのソリューションです。百貨店がどんどん縮小して、上層階にユニクロやロフト、ニトリが入っていくと、百貨店への出店を中心としているマンションメーカー(※)は、売り場を失ってしまいますよね。

百貨店向けの商品を作っている企業だけじゃなくて、百貨店自体もプライベートブランドを作っているので売り場を失うことになります。しかもプライベートブランドは、競合の百貨店には出店できないから売り場がもともと少ない。

そうすると、自分たちの地方店が閉館するたびに、生産ロットが少なくなって、原価があがり、無理をして……といった悪循環が生まれていきます。本来、粗利をあげようと思って作ったプライベートブランドが、むしろ足枷(かせ)になっているという事態が起きているんです。

ストライプデパートメントは、そういった「百貨店アパレル」と呼ばれている人たちが生き残るためのプラットフォームになりたいと考えています。「百貨店向けの商品を作る企業の売り場」にも「百貨店のプライベートブランドの売り場」にもしてほしい。

まとめると、地域の百貨店がない人たちに向けたソリューションと、BtoB向けのソリューション。ストライプデパートメントは、その2つのアプローチがあるんです。


(※)マンションの一室をオフィスにしているアパレルメーカー。
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文=明石悠佳 写真=小田駿一 聞き手=最所あさみ

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