なぜ、このタイミングだったのか。
「実は5年前くらいから、事業のアイデアは頭の中にあって。ずっと温めていたんです」
参入の経緯をこう振り返る、石川康晴。「今」だからこそ、参入すべきだ、と思ったという。彼はこの事業を通じて、何を狙うのか。
ニューリテールを中心としたこれからの小売業の形について、「earth music&ecology(アース ミュージック&エコロジー)」をはじめ、アパレルや飲食など15ブランドを国内外で展開する、ストライプインターナショナルの石川に取材する本連載。
第3回では、「hotel koe tokyo(ホテル コエ トーキョー)」と同じく2018年2月にオープンしたファッションECモール「ストライプデパートメント」について話を伺った。(第1回/第2回)
なぜいま「ファッションECモール」なのか?
──2018年2月にオープンされた「ストライプデパートメント」についても話を伺いたいです。このタイミングでファッションECモールを始められた理由について教えてください。
僕が言うのもあれですが、ファッションECモールをこれだけECが当たり前になってきた今のタイミングで立ち上げても正直、「イケてる感」はないんですよね(笑)。
それにもかかわらず、なぜ僕たちが100億円もはたいて、この事業に投資しようと決めたのか。それは、35歳以上の女性──つまり「F2層」のスマホの普及率が6割を超えたからです。
スマホを持つ比率も6割を超えたし、「スマホで服を買う」と答える人も5割近くになってきた。つまり、これまではPCから服を購入していたF2層に、ようやくスマホで服を購入する習慣が根付いてきたんです。
──そのタイミングを待っていた、ということでしょうか。
はい。5年前までは、スマホの普及率は3割。仮にスマホを持っていたとしても、スマホではなくリアル店舗、もしくはPCから買い物をすると答える人が多かった。そんな状況だったので、いま、このマーケットでファッションECモールを展開しても使ってもらえないし、洋服も売れないだろうな、と思っていました。
でも、ようやくデバイスが普及した。F2層向けのファッションECモールをやるなら、「いまだ」と判断したんです。