ナイキ女性社員の反乱が示す、従業員調査の力とリスク

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ナイキで働く女性たちがこれまで有害な文化に直面してきたことが、米紙ニューヨーク・タイムズの先日の報道により明らかになった。現・元社員50人以上への取材に基づいた同紙の記事によれば、女性従業員たちは次のような悪夢にさらされてきた。

自分はコンドームをリュックに入れて持ち歩いているのだとひけらかす上司。女性の部下に無理やりキスしようとする上司。本人宛のメールで女性社員の胸についてコメントする上司──。

これらは問題のほんの一部に過ぎない。状況があまりにひどかったため、一部の女性社員は同僚の女性らを対象に、職場環境に関する極秘調査を実施。調査結果は今年3月にマーク・パーカー最高経営責任者(CEO)に提出され、これまでに少なくとも6人の男性幹部が退職もしくは退職を表明した。

ナイキの状況だけが特別悪い可能性もある(私はそうは思わないが)。しかし、他社での状況の詳細がどうであれ、ナイキの件が示したのは、行動を起こした女性社員の不屈の精神、そして、従業員調査が持つ力だ。

人事部への問題報告は多くあったが、役員レベルの真の変化を起こしたのは、CEOに提出された調査結果だった。こうした調査は通常、広範囲の従業員から得られた確固たるデータを示すことができ、人事部に届いた数件の個別事案よりも無視しにくい。これが従業員エンゲージメント(熱意度)調査の力でもあり、リスクでもある。

筆者が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ(Leadership IQ)」は、「あなたの従業員エンゲージメント調査の有効性は?」というオンライン調査を実施。3000人以上の人事担当幹部がこれに回答した。問われた質問の一つは「エンゲージメント調査の点数は2年間でどのように変化したか?」というもので、回答の選択肢は次の4つだった。

1. 定期的に調査をしていないため分からない。
2. 点数に目立った変化は見られない。
3. 点数が低下した。
4. 以前は低かったが劇的に向上した、もしくは、以前から高得点を保っている。

当然4のみが良い結果となるが、恐ろしいことに、4を選んだ回答者はたった22%だった。対して、1を選んだ割合は34%、2は31%、3は13%だった。
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編集=遠藤宗生

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