コーヒーをオーダーするには「スターシップ・テクノロジーズ」のアプリを立ち上げて注文するだけだ。約15分後には犬ほどのサイズの車輪のついたロボットがオフィスの入り口まで配達してくれる。
こういった企業からの需要がスターシップにとっての新しいビジネスモデルとなっている。最近本拠地をエストニアからサンフランシスコに移した同社は、インテュイットの敷地内で数か月前から10台のロボットを試験的に導入しており、2018年に1000台のロボットを投入する準備を進めている。
スターシップのロボットはすべて白黒に塗装され、行き交う人々に存在を認識してもらえるように赤い旗も立てている。
同社は3年半前から自動運転技術の開発も行っており、「数千台のロボットを1年以内に生産する準備ができた」と共同CEOのヤヌス・フリス(Janus Friis)は語る。
同社はこれまでロンドンやサンフランシスコ、アーカンソーにおいてロボットの試験運転を行ってきたが、企業や大学の敷地内であればロボットが一般の歩道を走る際の法令を気にしなくてよいという。
インテュイットのような法人顧客は、月額利用料を支払いサービスを受けている。首都ワシントンのコントロールセンターにはオペレーターがいて、ロボットが走行中にゴミ袋や木の枝などの障害物に直面した際にサポートしている。
同社のロボットの動作の95%ほどが完全に自動化されていると、共同創業者でスカイプの創業にもかかわったアーティ・ヘインラ(Ahti Heinla)は言う。「ロボットを100%自動化するためには、まだ課題も多い」とヘインラは説明する。
インテュイットとの取り組みでスタートシップは、事務用品や郵便物などの配達も計画しているという。
調査会社「Pitchbook」のデータでは、2014年に従業員数30人ほどで創業されたスターシップは、自動車メーカーの「ダイムラー」や「Shasta Ventures」、ロシアのロボット企業「Grishin Robotics」などから1720万ドル(約19億円)の資金を調達している。
「小規模な実験は多数行ってきたが、現在拡大の準備ができているのは企業の敷地内における配達サービスだ」とフリスは言う。
「交渉中の潜在的な顧客が複数いる。アプリをダウンロードし、食料品を注文してロボットが配達するサービスは世界で初めてだ」と彼は話した。