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2018.05.09

米国にまん延する「孤独」、成人の半数近くに悩み

fizkes / Shutterstock.com


気分が良くないというだけでなく、孤独はさまざまな形で害をもたらす。孤独感が冠動脈疾患や運動機能・体力の低下、早期死亡といった健康上のリスクの増加と関連しているとの研究結果も数多く発表されている。

当然ながら、これはニワトリが先か、タマゴが先かという話とも言える(健康問題が孤独感につながっているのか、あるいはその逆なのか?)。「結果」をもたらし得る要因には、どのようなものがあるだろうか。例えば、劣悪な労働環境が健康を脅かすストレスと社会的交流の欠如の双方につながっているということも考えられるのだろうか?

もちろん、健康問題としての孤独のまん延は、個人の問題だと片付けることもできる(孤独な人はさらに孤独感を強めることになるが)。そして、この問題を抱える人たちに対し、「もっと友だちを作れ」「もっと大勢と話をしろ」「もっとお酒を飲んで、休日のパーティーで人を楽しませられるようになれ」などと言うこともできる。

だが、孤独を感じる人が1980年代から着実に増加しているという事実(偶然にも、肥満などの重大な公衆衛生上の問題と同時に起きている)は、これが個人の問題ではなく、体系的な問題であることを示唆している。コミュニティーや学校、職場、そして社会のどのような側面が、孤独感を増幅することにつながっているのか、より詳しく調査する必要がある。

街や都市が、人の交流を妨げるような設計になっているのだろうか。娯楽や趣味、人の集まり、コミュニケーションの手段などが、有意義な交流を邪魔するものになっているのだろうか。あるいは、社会からの期待や社会的障壁が、自分の孤独感を人に打ち明け、問題に対応することを妨げているのだろうか?

体系的な問題には、体系的な取り組みと解決策が必要だ。何が人々の間に分離や隔離、疎外といった感情をもたらしているのかを明らかにするため、恐らく全ての職場と地域社会が、調査を行うべきだろう。孤独は一人で対処すべき問題ではない。

編集=木内涼子

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