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2018.05.08

日本国際賞に輝く科学者から学ぶ「真の革新者」になるための教訓

マックス・クーパー教授(The Japan Prize Foundation)



天皇皇后両陛下に見つめられながらスピーチをするマックス・クーパー教授。

6. 共同研究の大半が成功しないことを認める

クーパー博士は、「多くのリソースと努力が大規模な共同プロジェクト推進に注がれているが、それらの多くはうまくいかない」と指摘する。革新のためには、さまざまなことを試し、失敗する余裕が与えられていなければならない。“完璧は善の敵”だ。

7. 自分と社会のニーズの間で「キャッチボール」を続ける

吉野博士は、社会のニーズと自分が持つ知識と能力、リソースはどちらも時間とともに変化すると指摘。そのため、研究を行っている分野において今何が起きているのか、最終的にその技術を使う可能性がある人たちはどう変化しているのか、現時点で自分は何を手にしているのかを頻繁に確認することが重要だという。つまり、自分にも周囲にも注意を払い、順応性を維持する必要があるということだ。

8. 魅力的でなくても気にしない

吉野博士がバッテリーの開発に関わり始めた当時、関連業界は魅力的なものとは考えられていなかったという。だが、それが博士の真の革新の実現を妨げることはなく、この分野は最終的に、世界中が大きな魅力を感じるものになった。表面的な部分だけを見ることなく、魅力とは主観的なものであり、時間とともに変化し得るということを理解する必要がある。

9. 多様性を大切にする

クーパー博士は自身の研究室を「国連のようだ」と語る。「多様な経歴や視点はアイデアの融合を促し、それがイノベーションにつながる」という。博士はまた、移民の受け入れや多様性を妨げるような動きがあることを懸念する。誰もがあなたと同じなら、あなたが本当に革新的でいることは難しいだろう。

10. 全ての人や物事を学習の機会と捉える

授賞式の翌日、博士らは学生たちと交流し、学生たちから学ぶために東京大学を訪問した。適切な肩書や人脈がなさそうだなどの理由で、その人と関わることを避けるのは簡単だろう。だが、全ての人はあなたと異なる経歴や視点を持っている。つまり、全ての人はあなたに何か新しいものを与えてくれる。

日本国際賞の主な選考基準の一つは、その技術が本当に社会の平和と繁栄に貢献しているかということだ。この定義によれば、今年の受賞者たちは真の革新者だ。他人の意見を聞く能力が、博士らが真の革新者になった理由の一つだ。

編集=木内涼子

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