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世界を目指す「社内発イノベーション」事例

(c)Adobe Stock

世界を変えるイノベーションは、いくつかの偶然と必然が重なり生まれる。何が成功し、何が失敗するなどは誰にも分からないが、成否を分けることがあるとしたら、情熱を持ってやり続けるに尽きるかもしれない。

今回は、同じ企業に勤めながら志を同じくした3人のファウンダーによるブロックチェーン技術を使った事業と、彼らの思いを探っていこうと思う。

リクルートでの新規事業を選択しなかった理由

昨年9月、ブロックチェーンを使った日本発の分散型ソーシャルメディアを標榜するALISが、ICO(Initial Coin Offering)で約4.3億円の調達に成功した。起業することを決めてから3カ月強、創業者3人は、それをリクルート在籍中に成し遂げた。

ことの発端は半年前の2017年3月に遡る。リクルートで外部の講師を招き、10名の有志とブロックチェーンの勉強会を行ったときのこと。ALISのCEO、安昌浩氏は以前からなんとなく知っていたブロックチェーンの説明を受け、その可能性に引き込まれた。

「これだ──」。知れば知るほど、胸に抱いていた起業という夢が大きくなっていった。

まずは仲間探し。同年5月、リクルートとの業務委託契約が満期で去ろうとしていた現CTOの石井壮太氏、翌日には現CMOの水澤貴氏(以下、水澤氏)に声をかけた。ブロックチェーンに詳しい、もしくは勉強会に参加していた仲間だ。


最左:CTO 石井壮太氏 中央:CEO 安昌浩氏 最右:CMO 水澤貴氏(ALIS提供)

リクルートグループの新規事業提案制度「Ring」へのエントリーは考えなかった。新卒でリクルートに入社後、はじめの3年半はリクナビNEXTの企画、後半3年は新規事業のプロデューサーをやっていた安氏。個人情報にシビアな部署にいたこともあり、社内で仮想通貨やICO、法規制等クリアできるイメージがわかなかったという。「ブロックチェーンといった未知なものに着手できる体制も考えづらかったです」

とはいうものの、クライアントとのプロジェクトが進行していたこともあり、すぐに辞めることは難しかった。まずは土日等の余暇時間で起業を進めることにした。

情報の透明性が信頼につながる

事業コンセプトを決めるにあたり、3人の共通点として浮かび上がったのが「チャンスがない状態の人達や格差への課題認識」だ。全員地方出身だが、大学では生まれや環境が異なるだけでこうも恵まれている人がいるのかと愕然とした。社会に出てからもそれは変わらなかった。責任取らず、知らない間に物事が決まり終わっていく“クローズド”なシーンに出くわすたびに違和感を感じていた。

「世の中の構造を変えるにあたり何をすべきか」。ヒントとなったのは、米国のSNSプラットフォーム「Steemit」だった。

Steemitは、ブロックチェーンを使うことで記事の投稿者、記事を評価したユーザーそれぞれトークンがもらえるため、広告がなくとも成り立ち、ユーザーに収益がもたらされる仕組みを取っている。いい記事をはじめに見つければ見つけるほど評価は上がるが、トークン保有量に対し投票の重みづけがなされているため、得られる価値を最大限に活かすには、評価数は抑えておく必要がある。



Steemit。現在は日本語でも記事の投稿が可能となっている。

ブロックチェーンで人の繋がりを変えていくのは3人のテーマにもフィットしている。PV偏重で広告に依存する従来のメディアのスタイルを変えれば、発信する人達とのコミュニティも広がる。過去にソーシャルメディアの立ち上げ・運用経験もあったことから、Steemitをベースに「人の信頼性の可視化」を設計していった。

文=木村忠昭

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