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2018.05.11 11:30

変化の時代には「信頼」でしか追いつけない グーグルから学べること

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あなたは人を信じる方ですか? それともまずは疑うタイプですか?
 
プライベートでは性善説を地で行く人でも、いざビジネスシーンとなると、自分の身を守るために相手を疑いながら、慎重に距離を詰めていく人の方が多いのではないでしょうか。
 
しかし変化の時代ではスピードが命なので、「人を疑うこと」さえ、足枷になってしまうのです。例えばチームの誰かが素晴らしいアイデアを思いついて、新規事業として立ち上げるとしましょう。すでにこの時点で、同じことを考えている競合他社はいくらでもいます。となると、いかに早く形にできるかが勝負です。
 
そこで、相手の言っていることをいちいち疑って、検証するために細かく確認を取っていたら、時間とコストばかりかかってしまって、あっというまに先を越されてしまいます。つまりはじめから相手を信じてしまった方が、圧倒的に速くアウトプットを出すことができるのです。

まずは受け入れ、アイデアを重ねていく
 
グーグルでは、人を疑うことこそ無駄なコストだと考えられています。そのため、相手が同じ価値観を共有しているグーグルの仲間である限り、まずは無条件で受け入れ、信じて仕事を進めることが前提となっています。僕はこのことを「ハイパー性善説」と呼んでいます。
 
グーグルはアメリカの企業なので、人種や国籍、宗教など、多様なバックグラウンドをもつ人たちが集まっています。日本とは比べ物にならないほどの多様な価値観が集う環境なので、相手の言うことを頭から疑いだしたらもはやキリがないのです。
 
人を疑うコストがなくなれば、情報の伝達や人との出会い、コミュニケーションがぐっと早くなります。「根拠は? 保証は?」と疑わず、まずは受け入れ、「こんな人を紹介するよ」「すでにこういうサービスがある」と、アイデアをどんどん積み重ねていけば、いつのまにかおもしろいものができあがる。ハイパー性善説でお互いを信じていれば、どんどんアイデアが広がるし、あれこれと本音の探り合いをしなくて済むから精神衛生にもいいのです。
 
日本人は信頼するのが苦手?

たとえば日本では、忙しい上司にアイデアを相談するにしても、前もってアジェンダ(議題)を送るなどして、あれこれとお伺いをたてる習慣がありますよね。また、つい「迷惑かな」と悩む時間ばかりが増えて、上手に頼れないこともあるのではないでしょうか。
 
一方グーグルでは、ヴァイスプレジデント(VP)というすごく忙しい人たちに相談を持ちかける場合、まず「〇〇という理由で相談があるので、1オン1(ミーティング)を入れてください」と頼みます。〇〇のところにラショネールがあれば、断る人はまずいません。忙しすぎて返信がこないことも多々ありますが、そもそも「忙しいときになんだ!」と怒る人はいないので、またタイミングを見計らえばいいと、部下たちもわかっています。

彼らのような多忙で偉い人たちには、定期的に数時間のオフィスアワーが設定されています。そのため、15分単位で早い者勝ちで自分との予定を入れてもらうようにして、誰でも相談することができます。実際、彼らはどんな相手にも「何?」と気軽に聞いてくれるのです。
 
日本人は、相手を信頼するのがヘタなのかもしれません。僕が見てきた経験では、自分が苦労して得た知識やノウハウを自分だけのものにしたい、という人が多いように感じます。自分を守るための壁をつくって、その中に、みんなにとって有益な情報や知識を囲いこんでしまうのです。

基本的に、ぼくは一度信頼すると決めた相手にはハイパー性善説を貫きます。相手が何かアイデアを話してくれたら、それを素直に受け入れ、それについて知っていることを、無条件にギブします。こちらが壁をつくらなければ、相手も心を開いてくれます。信用してしまうが勝ち、ということもあるのです。

連載:働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル
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文=尾原和啓

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