エレナ・L・ボテリョとキム・R・パウエルは10年間にわたり、約1万7000件のデータセットから、Cレベルの経営幹部に関する2600件のデータを抽出して分析。それぞれが出世するために必要だった要素を特定した。調査結果は、書籍『The CEO Next Door』として間もなく出版される予定だ。
2人は、最初の職に就いてから経営幹部に上り詰めた期間が平均の24年よりも早かった人々を指すため、「CEOスプリンター」という言葉を作り出した。
以下に、この調査により得られた興味深い結果を幾つか紹介する。
脇道へ逸れる
CEOスプリンターの約60%が、キャリアのある時点で、ステップダウンだとか、脇道に逸れていると思われかねない道を選んだ経験があった。つまり、相対的により大きな影響力を持つために、組織内のより小さな役割を引き受けたということだ。これには、企業内で何か新たなものを構築したり、自らが事業を立ち上げたりすることなどが含まれる。こうした起業・経営スキルが、最終的に経営幹部への階段を上り詰める際の役に立ったのだ。
早期に飛躍する
分析対象グループの33%以上が、キャリアの最初の10年以内に比較的大きな飛躍を遂げていた。多くの場合、自分は目指す役職には資格不足だったのにもかかわらず、最終的にはその職を得ていた。ハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載された調査結果の概要では、8か月間で上級会計士から最高財務責任者(CFO)へと昇進した男性の事例を紹介している。
組織の大問題に対処する
CEOスプリンターの30%以上が、自分の働く組織内で大きな難題を引き継いだ経験があった。こうした問題には、財務上の課題から、市場の獲得に失敗した製品など、さまざまな状況があった。CEOスプリンターは、こうした危機的状況から新たなスキルを習得することで、将来的なCEOとしての責務に備えていた。
ボテリョとパウエルは上記の3点のほかにも、CEOスプリンターに共通する特徴的行動を明らかにしている。重要な行動とされたのが、決断力、信頼性、適応力、対立から逃げることなく関係者と向き合う能力の4つだ。
もしあなたが、脇道やステップダウンをいとわなかったり、キャリアの初期段階で飛躍するチャンスを捉えたり、組織内の大問題に対処することができたりする人なら、CEOの役職は手の届くところにあるのかもしれない。