ビジネス

2018.05.08

「物のエアビーアンドビー」と話題、Fat Lamaのビジネスモデル

Fat Lama創業者(courtesy of Fat Lama)

DIYをしていて電動ドリルが必要になった。でも、二度と使わないかもしれない工具に大金を出したくはない。そんな経験をしたことはないだろうか?

起業家のロージー・ダラスは、2016年にロンドンの古い建物をコワーキングスペースに改装した際、その問題に直面した。

「電動ドリルとタイルカッターと業務用掃除機が必要になり、周囲の家々をノックして回ったのだけれど、応じてもらえなかったり、ドアを開けてもらえても迷惑がられたりした。それらの工具がすぐそばにあるのに借りられないことが、とてももどかしかった。なんて非効率的なんだろうと思った」と彼女は振り返る。

ダラスは早速、仲間のチャズ・イングランダーとオーウェン・ターナー=メイジャーとともに、この時に感じた不満を解消する方法を考えた。

3人が同年、ロンドンで創業した「ファット・ラマ(Fat Lama)」は、「物のAirbnb」とも言うべき、個人間で物を貸し借りできるサービスだ。ユーザーの中には、私物をレンタルに出して月に 10000ドル(約109万円)稼ぐ者もいる。一方、借りる側は、全体で月におよそ1200万ドル(約13億円)を節約している計算になるという。ファット・ラマは、レンタル料の一部を手数料として徴収する。

生死を分けたネーミング

サービスの運用開始までには、失敗や遠回りもあった。その一つがネーミングだ。3人は当初、「Borrow Bug」という名前をつけていたが、その呼称はシステムのバグを想起させる上に、平凡過ぎた。「誰でも考えつくような名前にはしたくなかった」

ダラスらは、「ファット・ラマ」という少々奇妙な名前に変えた。その結果、初期ユーザーの中心層である、ユニークな感性を持つクリエイターやフリーランサーの支持を得ることができたという。

保険制度の導入も一筋縄ではいかなかった。ファット・ラマの最大の特徴は、アイテム1点につき最高で30000ドル(約328万円)の保険がかけられている点だ。シェアリングエコノミーが浸透した昨今、個人間のレンタルサービスはいくつも存在するが、「私物を貸すことに不安を抱いているユーザーが多かった」とダラスは語る。

しかし、保険会社は保守的で、新しい試みに対して消極的だったため、提携に9ヶ月を要した。現在、ファット・ラマは「ヒスコックス」との提携を経て、「XLカトリン」とパートナーシップを結んでいる。
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編集=海田恭子

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