中国で一人勝ちのファーウェイ「市場シェア24%」を獲得

ファーウェイ、コンシューマー・ビジネス・グループのリチャード・ユーCEO(Photo by Chesnot/Getty Images)

中国におけるスマートフォンの出荷台数は2017年に初めて前年度を下回った。調査会社「カナリス」によると、今年の第1四半期はさらに落ち込み、前年同期比で21%減となっている。

しかし、そんな状況下でも売上を増加させたのがファーウェイだ。今年1月から3月期のファーウェイの中国国内の売上は2%増となり、競合の「OPPO」や「Vivo」からシェアを奪っている。

スマホの出荷台数の落ち込みは世界的なトレンドだ。調査企業「ガートナー」によると2017年の世界のスマホ出荷台数は、前年同期比で5.6%の減少となった。しかし、ファーウェイの躍進から見えてくるのは、中国の消費者らの新たなテクノロジーへの関心の高さだ。

カナリスの上海オフィスのアナリスト、Mo Jiaは次のように述べる。「画質の良いカメラや、人工知能(AI)などの新たな機能をうまく訴求すれば、中国市場ではまだ売上を伸ばせる」

そして、次のトレンドとして期待されるのが、中国で来年から始まる次世代通信規格「5G」の導入だ。5Gは従来の4Gよりもネットの接続速度を向上させ、デバイス間の連携能力も高まる。音声認識やAR(拡張現実)などの新たなイノベーションの導入を促進する。

「5Gネットワークの整備により、これまで実現できなかった機能がスマホに加わることとなる」と北京のコンサルティング企業「Marbridge Consulting」のMark Natkinは述べた。

そんな中、ファーウェイは中国市場において確固たるポジションを確立した。カナリスのデータではファーウェイは今年の第1四半期2100万台を出荷し、中国でのシェアは24%に到達した。IDCによると、同社は過去5年にわたり中国で上位5社圏内に入り続けた唯一の中国メーカーとなっている。

IDCのアナリスト、 Kiranjeet Kauは次のように述べる。「ファーウェイの強みは多様なセグメントに対応する幅広いポートフォリオと、強固な販売チャネルだ。同社の製品は割安のスマホを求める顧客と、プレミアムモデルを求める顧客の両方にアピールしている」

最新のプレミアムモデル「P20 Pro」はカメラ性能や画面の解像度の高さで、高い評価を確立した。カメラの開発はライカと共同で行い、AIが撮影シーンを識別する機能も導入された。

また、ファーウェイのサブブランド的位置づけの廉価版モデル「Honor」シリーズも同社の躍進を支えている。Honorは特に中国の地方部の都市で初めてスマホを持つ人々に人気となっている。また、Honorの一部のモデルはオンラインで販売され、マーケティング費用を抑えつつ支持を集めている。

「ファーウェイの狙いは、まだ好みのブランドを見つけていない消費者の心をつかむことだ。これまでのところその戦略は成功を収めている」とMark Natkinは述べた。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事