米国が求める組織トップの責任と良心、スタバCEOは示せたのか

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世界の7000社以上を対象に企業の評判を数値化して公表している米コンサルティング会社レピュテーション・インスティテュート(RI)によれば、同国のコーヒーチェーン大手スターバックスの今年の国内でのスコアは、66.6だ。上位100社に入るには、最低72.5ポイントが必要だった。

スターバックスのケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は4月12日、自社の広報活動に関する重大な危機に直直することになった。ソーシャルメディアの時代において、非常に大きな危機だ。フィラデルフィアの店舗マネージャーが、何も購入せず店内で友人を待っていた黒人男性2人がいると警察に通報。男性たちが逮捕される様子を撮影した動画がソーシャルメディアに投稿され、拡散したのだ。

多くの企業のトップは、責任はその店舗マネージャーにあると言うだろう。だが、ジョンソンは最も良心的、かつ責任ある方法で、この大問題に自ら対応した。ハワード・シュルツ会長ほか幹部らとともに現地に出向き、男性たちと地元警察、市民団体の指導者らと面会したのだ。

その後、同社は5月29日午後に米国内の直営店およそ8000店舗を一時休業し、約17万5000人の従業員を対象に、人種差別問題に関する研修を行うことを決定した。このプログラムは、エリック・ホルダー元司法長官をはじめとする専門家が考案したもので、今後は新規採用する従業員の研修プログラムにも含めるという。

危機のとき

米国の消費者文化の"支点"は、企業の責任と社会意識へと変化している。そして、この変化は多くの企業を信頼の危機に直面させている。
企業にとっては歴史的と言えるこうした変化をもたらしたのは、文化の根底にある政治的、社会的、経済的な変化であり、消費者が期待する企業の対応の変化だ。消費者は今、企業に責任と良心、誠実さを求めている。
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編集=木内涼子

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