スターバックスのケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は4月12日、自社の広報活動に関する重大な危機に直直することになった。ソーシャルメディアの時代において、非常に大きな危機だ。フィラデルフィアの店舗マネージャーが、何も購入せず店内で友人を待っていた黒人男性2人がいると警察に通報。男性たちが逮捕される様子を撮影した動画がソーシャルメディアに投稿され、拡散したのだ。
多くの企業のトップは、責任はその店舗マネージャーにあると言うだろう。だが、ジョンソンは最も良心的、かつ責任ある方法で、この大問題に自ら対応した。ハワード・シュルツ会長ほか幹部らとともに現地に出向き、男性たちと地元警察、市民団体の指導者らと面会したのだ。
その後、同社は5月29日午後に米国内の直営店およそ8000店舗を一時休業し、約17万5000人の従業員を対象に、人種差別問題に関する研修を行うことを決定した。このプログラムは、エリック・ホルダー元司法長官をはじめとする専門家が考案したもので、今後は新規採用する従業員の研修プログラムにも含めるという。
危機のとき
米国の消費者文化の"支点"は、企業の責任と社会意識へと変化している。そして、この変化は多くの企業を信頼の危機に直面させている。
企業にとっては歴史的と言えるこうした変化をもたらしたのは、文化の根底にある政治的、社会的、経済的な変化であり、消費者が期待する企業の対応の変化だ。消費者は今、企業に責任と良心、誠実さを求めている。