シリコンバレーから学ぶ、ラディカルイノベーションの秘密

SFIO CRACHO / shutterstock


自然の法則を適用

成功を収めたシリコンバレーのテック企業と、成功を収めたAIの間の類似点は非常に明確だ。意図的かどうかにかかわらず、シリコンバレーのテック大手は、その多くがここに挙げた原則を導入し、ラディカルなイノベーションで大成功を収めてきた。

これは単なる偶然ではない。こうした原則は、家族や組織、社会など抽象的な存在も含む全ての生物に当てはまる自然の法則に基づいているからだ。自然の法則は、環境では自然淘汰(とうた)を通して生物の適合性を強化し、組織ではラディカルなイノベーションを促す。

導入のコツ

リーダーはこうした法則を導入するため、実験に失敗しても安全な環境を作らなければならない。「失敗は許されない」時代はもはや過去のものだ。企業やそのリーダーたちは、変わり行くVUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代に適応しなければならない。

米デリバティブ取引所運営会社CMEグループのデービッド・ウォン常任理事(イノベーション・成長担当)は、同社がこの目標を達成するために行なっていることの一つを共有してくれた。

同社では、社内で「成長への挑戦」を活用している。従業員には、顧客関係を改善するアイデアを出す機会が与えられ、出されたアイデアは社員からの投票とリーダーシップチームの評価プロセスを経る。良いアイデアは迅速に概念検証と試験の初期段階まで進み、最終的に幅広く導入されるようになる。

急速に変化するVUCA時代にある今、完璧さよりもスピードがはるかに重要だ。各反復作業を完璧になるまで仕上げるよりも、多くの実験をこなしてそこそこ良い結果を得て、それを反復させて適応させる方が、はるかに早く学びを深め、求める結果にたどり着ける。

現場の状況はすぐに変わるため、解決策を完璧にする頃には、結果にはあまり価値がないかもしれない。現時点で80%の正確さを出しておく方が、1か月後に99%の正確さを達成するよりもずっと良いのだ。

まずは適度に良いものを発売し、市場からのフィードバックに応じて改善できるものは改善し、適度に良い状況で再度出す。それを繰り返せば、より早く答えにたどり着ける。

編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事