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「プレイグラウンド」で読み解くデザインの未来考

Photo by Ben O'Sullivan on Unsplash

2018年から、遊ぶことから仕事をつくり出すプラットフォームとして、「プレイグラウンド」というコミュニティを実験しています。

コミュニティに集まる人々の内発的なモチベーションから生まれる創造性を企業や公的機関が活用できたり、共通のテーマに興味をもつ同志たちでプロジェクトを自走させることができる場所ができると、“労働のためのクリエイティブ”ではなく、“自然体から生まれるクリエイティブ”を発揮することで生きていけるインフラをつくることができるのではないか──。そんな想いから運営をしています。

現在、ここでは普段ならば行いづらい公共のデザインや、特定の企業でしかもつことのできないアセットを利用したデザイン、マーケットがなく資本主義の上では取り残されてしまうような社会課題の解決を行なっています。

「発注・受注」から「共創」の関係へ

「プレイグラウンド」での活動は、クライアントや案件ありきではなく、特定のテーマに興味をもつメンバーの集まる「クラン」から始まります。

まだα版ですが、空間づくりに関心があるクランは不動産企業と一緒にシェアハウスの立ち上げを行なっていたり、都市デザインに関心があるクランは都内の区役所と一緒に街づくりの企画を行なったり、教育に関心があるクランはインドの学校の教育コンテンツや事業のデザインを行なっています。

与えられた仕事のために創造性を発揮するのは、誰もがやっていることです。しかし、生活のため、キャリアのため、といったところを一旦忘れて、「自分が何をつくりたいのか?」「どんな課題を解決したいのか?」を純粋に考え、実行できるコミュニティがあるべきではないか? そうした問いからクランは生まれました。

そのうえで、クランのもつ創造性、クランから生まれるプロトタイプに対して親和性がありそうな企業、公的機関などを選定し、彼らがもつアセットとコラボレーションを行うという仕組みをつくっています。コラボレーション相手となる機関もクランに加わることで、「発注・受注」ではなく「共創」の関係を築きながらプロジェクトを行うことができるのです。

クリエイターへの価値としては、平たく言うと「デザイン対象」と「協働する仲間」をキュレーションしていること、そして、場合によっては「創作活動に必要なアセット」も斡旋しているところ。同時にコラボレーション相手となる団体や企業に対しては、感性豊かなクリエイターたちとの協働機会を提供し、創発的な実験場として利用してもらうことで価値を感じてもらっています。


プレイグラウンドでは、テーマごとに複数の「クラン」と呼ばれるクリエイターたちのコミュニティが生まれている。

「遊び」から仕事をつくる時代

私は、日本におけるクリエイティブ環境には大まかな時代の流れが存在すると考えています。

戦後からバブル期にかけて、物質的に満たされなかった日本は「経済的発展を至上とした生産を行う時代」でした。成熟国となり“課題先進国”とされる現在は、いままでの時代では手がつけられてこなかった「課題解決を念頭においた生産を行う時代」だと思います。

そして次にくるのが、人工知能(AI)で単純労働が減り、ベーシックインカム(BI)のようなシステムで最低限の生活が保証された「遊びの延長線上で生産をする時代」だと考えています。

時代が進むにつれて生産は外的動機ではなく、内的動機から生まれるようになります。しかし、自分自身も、周りを見ていても、まだまだ内的な動機から創作活動を行える環境が整っているとは思えません。

マーケットがあるところで創作活動をしないと経済的なリターンを得られず、生きていくことができませんし、かといって空いた時間で根本的な課題解決ができるほど力も残っておらず、そのための仲間やアセットを見つけるのも難しい。創造力が少しでもある人間が、身の回りや社会に対して直接豊かさを加えたり、問題解決のためのチャレンジをする発想に至りづらい環境があまりにも寂しく感じたのです。

文=富樫重太

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