ジェフ・ベゾスの株主書簡に学ぶ「高い基準」に関する5つの極意

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認識:「何かがいかに困難かについて、現実的な考えを持つ」

目標達成がいかに困難かを正確に把握していない場合は、最初から怖がって逃げてしまうことがないので、それなりのメリットはある。それでも、チームや自分があまりに早く諦めてしまわないよう、目標とその難易度を明確に知っておくことも、同じくらい大切だ。

ベゾスは、友人が逆立ちのコーチを雇ったとき、コーチが次のような言葉をかけたと書いている。「ほとんどの人は、一生懸命練習しさえすれば、2週間で逆立ちが習得できると考えている。しかし現実的には、毎日練習しても半年かかる。2週間でできるものと思っていれば、諦めてしまいかねない」

視野:「視野を与えるだけで結果は改善できる」

アマゾンは、パワーポイントスライドの代わりに、6ページにわたる提案文書を使うことで有名だ。この2つは非常に異なるスキルだ。素晴らしい文章は一見簡単に見えるが、それを書くためには大きな努力が必要なことを理解していない人がほとんどだ。文章が優れていればいるほど、簡単に書けるように錯覚してしまう。

良い文書を書く最善の方法は、時間をかけて見直すことだ。ベゾスは次のように述べている。「素晴らしい文書は推敲(すいこう)を重ね、同僚に見せて意見を求め、2日ほど放っておいて頭をクリアにしてからもう一度編集することで仕上がる。1日や2日でできるものではない。視野を与える、つまり素晴らしい文書を作成するためには1週間以上かかると教えるだけで、結果は改善できる」

心構え:「毎日が1日目」

この書簡には、隠れた第5の信条がある。それは「心構え」だ。ベゾスは1997年当時の株主書簡を繰り返し投稿し、アマゾン創業時の目的を常に思い出している。創業から20年間、彼はその目的を見失うことがなかった。これには、高い集中力と規律が必要だ。ベゾスの成功の主な原動力もここにある。

集中力と規律を維持するには、自分のしていることを好きにならなければならない。これこそ、ベゾスの最も大きな特徴だ。株主書簡でさえもが子どものような喜びで満ちあふれていて、まるでアマゾンの経営は負担ではなく喜びだということを毎日思い出しているかのようだ。
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編集=遠藤宗生

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