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産業イノベーションと世界の自動車産業に関する執筆を担当。

Aleksei Potov / Shutterstock.com

自動車がどれほど素晴らしいものか、あるいはひどいものかを理解するための最善の方法の一つは、ばらばらに分解して、その車がどのように設計され、組み立てられたかを調べてみることだ。

分解してみれば、米電気自動車(EV)メーカー、テスラがなぜその他の自動車メーカーを縮み上がらせたのか、そしてなぜこの自動車業界の“新入り”は利益を上げることに苦労しているのかがよく分かるだろう。

自動車分解調査などを行うコンサルティング会社、米ムンロ&アソシエーツはテスラの「モデル3」を購入、ベンチマーキング調査を行った。ムンロのサンディ・ムンロ最高経営責任者(CEO)によれば、その結果から明らかになったのは、モデル3には衝撃的なほど素晴らしい部分と、あぜんとするほど残念な部分がどちらもあったということだ。

特に優れたテスラの技術を示すのは、スケートボードのような形状のリチウムイオン電池パックと、パワーエレクトロニクスに関連する部分だ。電子制御ユニットについてムンロは、統合や製造における「水準の高さに衝撃を受けた」「モデル3に使われている優れた技術だ」と述べている。

一方、モデル3のその他の側面、特に大半が鋼鉄製の骨格部分(ホワイトボディー)は驚くことに、寄せ集めの技術でロボット溶接を行ったと見られている。モデル3はボディパネルに段差があるなどの指摘がなされているが、その理由と考えられるのが、この溶接の問題だという。また、複数の溶接技術が採用されている根拠も不明だとされる。

ムンロとチームメンバーがさらに残念な点だと指摘するのは、ホワイトボディーの構造とその重さだ。必要以上の金属製フランジを使っていることや、鋼鉄が重なり合って層をなしている部分があることなどで、意味のない重みが加わっている。

ムンロは、今回の調査結果に関する分析はまだ終了しておらず、モデル3がBMW「i3」やシボレー「ボルトEV」などその他のEVと比べてどのように異なるか、結論はまだ出せないと話す。ただ、「フロアパンの下にあるものは、全て素晴らしい。だが、上にあるのは、それはただそういうもの、としか言えないものばかりだ」という。

ムンロは分解調査を目的に昨年12月上旬、当初の購入者から7万2000ドル(約786万円)でモデル3を譲り受けた。実際に入手したのは今年1月下旬。生産時期は確認できていないが、ムンロのもとに届けられるまで、使用はされていなかった。この車は、「詳細は不明だが、最初のオーナーへの納車時期が品質に関する問題を理由に2週間延期されていた」。

ムンロはその後、モデル3をもう一台購入。先に調べたものに比べ、いくらか改善されている点が確認できたという。だた、大幅な向上が見られるという程度ではなかった。

テスラの広報担当者はムンロが最初に調べた車について、昨年中に生産したものであるとして、「当時と比べ、生産プロセスは大幅に改善されている。改善の余地は常に残されるものの、当社のデータによれば、モデル3の品質は急速に向上している」と説明している。特に、トランクやテールランプ、クォーター・パネルには目に見えた改善がなされていると述べている。

テスラと競合する各社は、価格8万7000ドルのムンロのベンチマーキング調査報告書の内容をじっくり研究するだろう。テスラのイーロン・マスクCEOは、6月末までに「生産地獄」から抜け出し、目標とするモデル3の週産5000台を達成すると明言している。ムンロはまた新たにこのモデルを購入し、分解して調べてみるのが賢明かもしれない。

編集=木内涼子

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