「制度」よりも「現場の理解」、副業を3年間続けて気付いたこと

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当時社内には私のような働き方をしている人はおらず、やや浮いた存在として見られていた節もあった。そのため、私は存在価値を示す意味でも、週5日の目標は変えないまま週3日勤務をすることに決めた。まだ新卒2年目、大したスキルも無い。そんな中、私の働き方を実現しつつ、しっかりと成果を出せるようサポートしてくれた上司のマネジメントを5つに分析してみた。

1. 「キャパオーバーになりそうなら相談してね」の一言

週1回のミーティングにおける業務量のチェックはもちろんのこと、適度な距離感で「キャパオーバーになる前に相談してね」と定期的に声をかけてもらっていた。些細なことだが、これがあるのと無いのでは雲泥の違い。他の人の5分の3の時間で同等以上の成果を追い求める自分にとっては、本当に救われる一言であり、たったそれだけで気持ちが軽くなり、業務に集中できることが分かった。

2. できる仕事の他に、新しい成長要素を加える

短日数勤務であることに縛られてしまうと、マネジメント側も効率重視の考え方に偏りがちになり、結果的に業務範囲が限定され新たな成長がなくなってしまうことは、多くの人に心当たりがあることだろう。これは、業務委託やパートタイム、アルバイト勤務の方々に対する仕事の依頼方法に共通するかもしれない。

この仕事の振り方が続くと、生産性、そしてモチベーションが下がり負のサイクルに陥る。その点、私の上司は限られた勤務日数内で、キャパオーバーの瀬戸際を見極めながら新しい仕事を任せてくれるため、常に私の成長に寄与してくれている。

3. 拘束時間ではなく、達成してほしい成果を提示

私と他の従業員との明確な違いは、拘束時間の長さだけ。これはこれからの働き方を考える上でも重要なことだが、拘束時間ありきで仕事を振るのではなく、出して欲しい成果を先に設定し、そのために必要な時間などのリソースを整えるという方向へ転換してくれる。

時々、敢えて成果を明確にされないこともあるが、それは自分自身で解決のプロセスや成果を設定して欲しい時、つまり成長を促されているときなので、その場合は自ら考えた案を出すこと自体を成果として求められている。

4. 自分では描けない未来の可能性を提案してくれる

私自身もこの働き方で成果を出すために手探りで進めているため、将来のことやキャリアについて考えると不安になることも多々ある。そんな時、上司は第三者の視点から、私自身には描けていなかった「仕事とダンスの相乗効果がもたらすキャリアへの可能性」を提案してくれる。決して形式張ったものではなく、移動中や休憩中の些細な会話であるものの、それらが日々の小さな救いになり前向きに取り組めていることは間違いない。

5. 私自身の力で成果が出せるよう伴走してくれる

上司の基本的なスタイルは、いい塩梅の放任主義で基本的には全て任せてくれる。その理由を尋ねたところ、短日数勤務で仕事が処理しきれない場合に手伝いすぎてしまうと、本人の中に成果を出した実感が湧かなくなるから。また業務を処理しきれないことを前提に体制を組んでしまうと、戦力としての存在意義すら疑われる事態になりかねないからだという。

ある程度負荷がかかるとわかっていてもやりきってもらうことで、私も周囲も戦力として機能していることを認識できるからこそ任せてくれている。「ただし、放置に近い形で任せ切ってしまうと緊急時にフォローできなくなるため、基本的には任せつつも、伴走するスタンスを心掛けている」とのこと。そういう想いは私自身確かに実感しており、とても助かっている。

細かい点ではもっと色々な工夫をしていただいているが、これらがあってこそ3年間もこの働き方を続けることができているし、成果も残すことができた。

「働き方」という言葉が広く議論されていま、新しい働き方にチャレンジする人が増えてきている。しかし、その人達がしっかり本業と副業を両立させることができるかどうかは、どこかが決めた制度や法律ではなく、日々共に働く人達の理解と対応が不可欠である。より現場レベルで、副業に対する考え方が変わっていけば良いと思うし、私や、私の仲間たちがその事例になっていければ嬉しい。

文=柴田菜々子

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