オークヴィル地区(Oakville)は、ナパワインの中心地。特に、高級路線のワイナリーが集中している。土地の価格も高く、トーカロン(To Kalon)といった銘醸畑で収穫されるブドウは、毎年、高価格で取引される。ここには、カリフォルニアワインの歴史を語る上で外せないロバート・モンダヴィ・ワイナリー(Robert Mondavi Winery)や、そのお向かいには、日本でも人気の高いオーパス・ワン(Opus One)がある。
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーでは、様々なツアーや試飲、食事とのペアリング体験のプログラム等が用意されているので、ナパワインを学ぶ入門としてもお勧めだ。試飲のみの場合は、予約不要。
オーパス・ワンは、ロバート・モンダヴィとボルドーの1級シャトームートン・ロスチャイルドのオーナー、フィリップ・ロスチャイルドとの合弁で作られたワイナリー。1979年がファースト・ヴィンテージで、高級ナパワインの象徴にもなったワインだ。オーパス・ワンは、カベルネ・ソーヴィニョンが主体のボルドーブレンドの赤ワイン。ワイナリーでは、セカンドラインのオーヴァーチュア(Overture)も購入できる。試飲やツアーもあり、日本人スタッフも働いている。
オーパス・ワンのエントランスには、アメリカとフランスの国旗が掲げられている。
シルヴェラード通り沿いには、スタッグス・リープ地区(Stags Leap)がある。この地区で立ち寄りたいのが、カリフォルニアワインを世界に知らせるきっかけとなった、1976年の「パリスの審判」の赤ワイン部門で首位を獲った、鹿のラベルのスタッグスリープ・ワインセラーズ(Stag’s Leap Wine Cellars)だ。カベルネ・ソーヴィニョン主体の赤ワインや、シャルドネの白ワインを試飲したい。予約なしで試飲もできる。
ヨーントヴィル地区(Yountville)には、世界一、予約が取るのが困難と言われる3つ星レストラン、フレンチランドリー(French Laundry)がある。そのオーナーシェフ、トーマス・ケラー氏がプロデュースするビストロ・ブション(Bouchon)やそのパン屋さんは、もっと気軽に楽しめる。その近くにあるビストロ・ジャンティー(Bistro Jeanty)もお勧めだ。
ナパにあるもう一つの3つ星レストランが、メドウッド(Meadowood)。カルトワインとして名高いハーラン・エステートのハーラン氏が経営するホテル内にあり、ホスピタリティも素晴らしい。
ラザフォード地区(Rutherford)には、1879年設立で、ナパで最も古いワイナリーの一つ、イングルヌック(Inglenook)がある。 現在は映画監督のフランシス・コッポラ氏がオーナーで、歴史を感じさせる建物の中には、初代オーナーの所有品やコッポラ監督に由来する展示がある。醸造責任者は、ボルドーの1級シャトーであるシャトー・マルゴーの醸造も兼任するフランス人のバスコール氏。ワインの品質にも妥協がない。
さらに北上すると、セント・ヘレナ地区、その先にカリストガ地区。カリストガは、マッドスパが有名で、スパやプール付きのホテルもある。そこまで足を伸ばしたら、ぜひシャトー・モンテリーナ(Chateau Montelena)に寄りたい。こちらのシャルドネは、上述の「パリスの審判」の白ワイン部門で首位を獲得。今も秀逸なワインを作っている。予約なしでも試飲可能。
ワインは現地で飲むのが一番美味しい。ナパのワインは、全般に、果実味にあふれ、初心者でも親しみやすい。特に、カリフォルニアの太陽のもとで飲むワインは、最高の思い出になるはずだ。
ナパの生産者団体である「ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ」のウェブサイト(https://napawine.jp)には、ナパワインに関する情報がたくさん載っている。
島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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