ミレニアルズを宇宙人のように語ることは簡単だ。しかし、こうした特色を持っているのは、経済機会の少なさと情報アクセス手段の過多によって、一見すると複雑化したように見える環境下で育ってきたからに他ならず、元々彼らがそういった性格でこの世に生まれてきたからではない。
ミレニアルズを象徴するキーワードとして、「合理的」「多様性」「グローバル性」「デジタルネイティブ」「常識に因われない」などが挙げられるが、「刹那的」という言葉も彼らを表現するにふさわしいと感じる。そこで今回は、瞬間瞬間に価値を見出し、物事を消費するミレニアルズの考え方にフォーカスする。
ミレニアル世代は借家世代
ミレニアルズとそれ以前の世代の大きな違いに、経済的な環境がある。いまは20年前とは異なり、住居の高騰によって家を買うことが難しくなった。英国のシンクタンクの報告によると、ミレニアルズの3分の1は一生借家で暮らすことになるという。これは、1965年〜1980年に生まれた「X世代」の約2倍である。
また欧米諸国では、奨学金のローンがミレニアルズを経済的に苦しめている。英国のミレニアルズの53%が収入より支出の方が多いと答えており、56%が「クォーター・ライフ・クライシス」(20代〜30代で感じる人生の重圧)に陥っているとまで言われている。
こうした現状がある中で、将来的に家や車を所有することへの憧れを抱くことの方が難しいことは明らかだ。そして、これまでの常識から目をそらすかのように、瞬間、瞬間を楽しみながら、今を楽しみながら生きることの方がミレニアルズにとっては生きやすく、自然なことなのだ。
そうした彼らの価値観を表す言葉が「YOLO」(You Only Live Once)、つまり「人生一度きり」。人生一度きりなのだから、これまでの常識や価値観にとらわれず自分の好きなように毎日を過ごしたい、と。この言葉をタトゥーとして体に刻んでいるミレニアルズも少なくない。そして、楽しい瞬間の写真と一緒にハッシュタグ #YOLO として投稿される数は2700万投稿にも及ぶ。(2018年4月現在)
刹那的に生きるミレニアルズを表現するジョークとして、アボカドトーストが引き合いに出されることがある。「ミレニアルズはマイホームを買うための節約などはせず、昼食に色とりどりのトッピングがなされた20ドルもするアボカドトーストにお金を費やす」と揶揄されているのだ。それは、日本ではパンケーキかもしれないし、カスタマイズされたスターバックスのラテかもしれない。