ビジネス

2018.04.26

テクノロジーの預言者ジョージ・ギルダーが語る「グーグルの次の時代」

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──取って代わるのは何なのでしょうか?

ゴードン・ベルの法則によれば、ムーアの法則によって予測された進歩により、コンピュータの費用対効果は10年ごとに100倍上昇する。この法則によれば、全く新しいコンピュータ・アーキテクチャが出現することになる。

──ということは現在、ベルの法則やクラウドの10年目のポイントに来ているということでしょうか。

驚くなかれ、今まさに新たなアーキテクチャが出現しようとしているのだ。それはこれからますます問題になる、穴だらけのセキュリティであるインターネットへの一極集中問題を解決してくれるだろう。それは世界中に存在する小規模なデータセンターとなり、その多くはモバイル機器で、暗号化されたもの。ブロックチェーンをはじめとする新技術をベースにした新たなコンピュータ・アーキテクチャだ。

──なぜグーグルはその技術に参入しないのでしょうか。

グーグルは自らの幻想に捉われている。グーグルが得意になって吹聴している機械学習の進歩は、コンピュータ処理のスピードの進化そのものだ。全人類がこれまでに打ってきた囲碁の勝負を超える数を、コンピュータが1分間で打てたとしても、それはインテリジェンスの素晴らしい進歩とは言えない。インテリジェンスは変わらず、単にテラヘルツ・レベルにスピードアップしたというだけだ。それでもグーグルらは、機械学習が自我を持ち、人類を支配できるなどという幻想を抱いている。

──AIは歓喜とともに恐怖も呼んでいます。例えばイーロン・マスクは恐怖を感じています。

イーロン・マスクは素晴らしい起業家だ。しかし同時にマンネリ化した思想の持主だ。もし彼が、倫理的な先見の明の持主であることを期待され、その役割を演じるようになれば、人間の生活は、単なる賢い人たちのゲームのシミュレーションの場にすぎなくなる。

──人間性をかなり悲観した見方ですね。

実にばかげている。客観的にみて、おかしい。シリコンバレーは人間を退化させるのではなく、より人間の生産性を上げさせる方法を考えるべきだ。

翻訳=フォーブス ジャパン編集部

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