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ドクター兼起業家が教えるこれからの医療


しかし、日本人が医療リテラシーを持つには、1つの壁があります。日本の現状では、積極的に医療の知識を学んだり触れたりする機会がほとんどないということです。

私がアメリカの小児病院に留学して驚いたのは、日本と比べて、医薬品や病院を含めて医療関係の電車広告やテレビCMを見る機会がすごく多いということでした。これは、日米の医療の仕組みの違いが関係しています。

日本は、どの医療機関でも高い水準の医療が安く受けられる「国民皆保険制度」が充実していますが、その代わりに「医療=公的なもの」として、広告を含め、医療が様々なルールで行政にコントロールされています。反対にアメリカは、公的な医療保険の対象が高齢者などに限られているため、民間保険への加入も含め、全てが個人の責任に委ねられています。保険に未加入で病院にいけば、数百万円の高額な請求が来ることもあります。

しかし、だからこそアメリカでは、積極的に情報を取りに行き、サービスを使いこなさなければという意識が働きやすくなります。CMなどで医療情報が身近にあることで、治療や薬のおおよその金額感など、最低限の医療リテラシーが身につきやすい環境でもあります。

どんな医療を受けたいか、10代から考えられる世界に

日本の環境はアメリカとは大きく違います。医療が電気や水道と同じように「当たり前」のものとして存在するのは素晴らしいことですが、逆を返せば、強く意識しないと、自分や周囲の人が病気にかかるまで、医療を自分ごととして考えづらい環境でもあるということです。

もちろん、日本の医療システムは、誰もが高い品質の医療の恩恵を受けられる素晴らしい仕組みです。しかし少子高齢化が進む中で、今後も同じ仕組みを継続することは難しいとみられています。医療費の増大を防ぐために、診療プロセスの最適化、不要な治療や検査の削減などは必須になるでしょう。こうした動きにはテクノロジーが欠かせません。

例えば、「50代男性の生活習慣病の患者の50%がきちんと治療をしていない」というレポートがありますが、ここでオンライン診療を活用すれば、通院が途切れがちな患者の治療継続を支援でき、重症化を防ぐことができるかもしれません。もしそれができれば、長期的には医療費が確実に削減できますよね。

しかし、こうしたテクノロジーの変化を世の中が受け入れ、多くの人が正しく使いこなすためには、まず医療リテラシーの底上げが必要だというのは先にお伝えした通りです。個人的には、例えば小中学校の授業のなかで、救急病院を見学しながら自分や家族の受ける医療について考えたり、教育の中に医療を取り入れていくのも一つの施策ではないかと考えています。

文=豊田剛一郎

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