私は飛び跳ね、「イエス・ウィー・キャン! イエス・ウィー・キャン!」と叫び始めた。だが、母はすぐに私の言葉を正した。
母は私に「イエス・ウィー・ディド!」と言った。バラク・オバマが米国初の黒人大統領として選ばれたからだ。
2008年11月4日は、私が政治に夢中になり始めた日だ。つつましい出自の黒人男性が大統領の地位にまで登りつめられたことに、私は刺激された。この日を境に私は民主党側の闘いに参加し、地方選に出馬した多くの民主党候補の下でインターンをするようになった。
インターン中、民主党の候補者から似たような公約を多く聞いた。しかし選挙中は希望に満ちていた人々も、当選後に公約を守ることはなかった。私は自分の政治活動を一度は刺激した政党に、失望を感じた。
私は最近まで、自分は民主党支持者だということを疑ったことがなかった。私は、民主・共和のどちらの党も常に「正しい」わけではないことに気づいた。そしてその後すぐに気づいたのは、政治的帰属意識の重みには徹底的かつ完全な自己発見のプロセスが必要だということ。私は、完全な政治的スペクトルを体験したいと思うようになった。
私は、とある思い出深い食事の中で、政治的帰属意識に関する厄介なプロセスを進むことになった。友人のチャンドラーは何週間もの間、じきに訪れる春休みの旅行をとても楽しみにしていた。彼女は、テキサス州ホースシューベイにある別荘に、テニスチームの友人らを招待していた。
私たちは別荘に着くと、荷ほどきをしてから、ステーキとポテトの食事のために集まった。私はグリルの所にいるチャンドラーの父親に、ミディアムウェルのステーキを頼んだ。席に付き、ステーキにナイフを入れると、ミオグロビンが皿の上に流れ出た。
私はその後しばらく、血も滴るステーキを黙って食べた。私は、チャンドラーの母親のブルバさんがハリス郡共和党組織の役員であることを知っていた。ブルバさんとは以前、環境規制や税政策などについて議論したことがあったが、その意見の裏にある論理については聞いたことがなかった。今夜の議論はひと味違うものになるはずだった。