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(Photo by Christopher Furlong/Getty Images)

米コーヒーチェーン大手のスターバックスが、人種差別問題に巻き込まれている。皮肉なことだ。称賛と批判のいずれも受けてきたものの、同社は人種問題について語り合うきっかけを提供しようとするキャンペーンを展開するなど、この問題の改善に積極的に取り組んできた。

スタバに対しては、ボイコットを呼びかける動きも広がっている。フィラデルフィアの店舗で友人を待っていただけの黒人男性2人が逮捕された、嘆かわしい一件がきっかけだ。この件を受けて同社は、5月29日に米国内の約8000店舗を一時休業とし、人種差別問題に関する研修を実施するという恐らく「不相応な」決断を下した。

社会的、政治的分断が生み出した部族主義にも似た反動主義が広まる現代において、この一件が示すのは、無形の脅威が事業の継続性に影響を及ぼし、評判という企業の外面を汚し、社会的責任に関する努力に反発しているということだ。

ハワード・シュルツ会長が経営を指揮していた当時のスタバは特に、「企業活動家」として特徴付けられる一社だった。アップルやセールスフォースをはじめとする複数の企業と同様に、人種やジェンダー、選挙資金、宗教、安全保障などといった物議を醸すこともある社会的、政治的問題について、自らの立場を主張した。そうした企業による積極的行動の広まりは、伝統的な規範からすればあり得ないことだった。企業とその幹部の社会における唯一の役割は、不可知論者的に株主価値を高めることであるとされてきたのだ。

また、経済学におけるトリクルダウン理論が社会の向上や改善に役立つとされてきた一方で、相次いだ企業スキャンダルは企業への信頼感を著しく低下させ、従来の規範に対する抗議につながった。

人々は公的機関と民間の組織のいずれ対しても(そして、場合によってはスタバのバリスタにも)、より多くのものを期待するようになっている。企業の幹部や重役たちは否応なく、自らの価値観が壁や年次報告書に書かれた無意味な言葉ではなく、困難に直面したときによって立つ重要な柱であることを、株主や社会に対して明確に示すべきだとの圧力にさらされている。つまり、最も重要とされているのは、企業とその幹部が持つ価値観だということだ。

編集=木内涼子

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