世界の子供が「安全に学ぶ」ために日本ができること

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この問題を解決するために、実は、日本でもできることがあります。

2015年、ノルウェー政府とアルゼンチン政府主導のオスロ会合で、武装紛争下で学校や大学を軍事目的使用から守るための「学校保護宣言」が策定されました。この宣言により、学校を軍事利用することが原則、禁止されます。

2018年4月時点で74か国が宣言支持を表明しており、その中にはアフガニスタン、イエメンなどの紛争中の国家も入っています。2017年には、G7の中からも、フランス、カナダが調印し、前出のGCPEAは2018年の調印目標国としてイギリスと日本をあげています。イギリスでは大規模なキャンペーンが行われ、4月19日に調印を発表しましたが、日本はいまだ調印に至っていません。

日本政府の学校保護宣言の調印に向けて、ヒューマン・ライツ・ウォッチやセーブ・ザ・チルドレン等の国際NGOが「学校保護宣言キャンペーン」を展開し、25人のビジネスリーダー、文化人、アスリートが共同の声明文を発表しています。

日本全国の高校生が声をあげていることも特筆すべき点です。東京、長崎、沖縄の高校生が「学校保護宣言」キャンペーンを立ち上げ、世界の学校の現状をWEBサイトで発信。5月5日の子どもの日に向け、手書きの鯉のぼりの署名を集めているほか、Change.orgなどオンラインでもキャンペーン開始から1週間で既に1万人が署名するなど、多くの方から賛同が集まっています。

日本中の子ども達が、学校に通える喜びを謳歌する春。世界の学校の子ども達の安全な教育の権利を守るために、日本政府も「学校保護宣言」を支持し、積極的な平和外交のリーダー国として、子ども達の安心安全な教育に寄与できるように。私たち一人一人が、何をできるか、考えてみたいものです。

ISAK小林りん連載「日本と世界の教育のこれから
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文=小林りん

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