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2018.05.04 11:00

香港の女性不動産王が直面した、遺産相続の「骨肉の争い」

Pigprox / Shutterstock.com

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香港で最もリッチな女性実業家の一人である、Vivien Chenにとって昨年は厳しい一年だった。不動産大手「Nan Fung Group(南豊集団)」の会長を務めたVivienは長年、93歳の母のYang Foo-oiとの間に、遺産相続をめぐるトラブルを抱えていた。

2017年6月、裁判所はVivienに対し10億ドル以上を支払うよう求める判決を下した。彼女は2009年、Nan Fungの創業者である父のChen Din Hwaがアルツハイマー病と診断されたのを受け、同社の経営を引き継いでいた。

その翌年、母のYangは彼女の妹らを原告人として訴訟を起こし、3名の姉妹が均等に遺産を受け継ぐという2004年の合意にVivienが違反していると訴えた。

訴訟には様々な要素が含まれていた。不動産の評価額に関する見解の相違や、2004年に合意を結んだ際にYangが精神的に不安定で、そもそも合意は無効だとする主張もあった。その後、2014年にYangは脳卒中で倒れ、今も意識不明の状態だ。また、2007年当時にYangが遺言を残しており、そこには財産の全てをVivienに相続させると書かれていた。

さらに事態を複雑にしたのは、母のYangが2011年に父と離婚したことだ。Yangは長年、父の不貞に苦しんでおり、離婚裁判を経て慰謝料として数億ドルを受け取った。

父は2012年に89歳で亡くなった。香港のビリオネアとして有名だったDin Hwaの資産額は2011年当時、38億ドル(約4000億円)だった。裁判所の調停でVivienが会社の経営を引き継いだが、長年米国に住んでいた妹のAngelaが帰国すると彼女は母親とともにVivienを訴えたのだ。

2016年6月の裁判でVivienは破れ、母に11億ドルを支払うよう求められた。しかし、その後もVivienはビリオネアの地位を失っておらず、フォーブスは彼女の資産額を26億ドル(約2800億円)と算定している。

現在58歳のVivienは2016年にNan Fungの会長職を退き、今は名誉会長を務めている。2017年8月から、彼女の末娘のVanessa Cheungが会社の経営を引き継いだ。

様々な困難を乗り越えたVivienは今もなおNan Fungのコアビジネスを支え、近年はロンドンの不動産買収を手がけるなど、新たな一歩を踏み出そうとしている。

編集=上田裕資

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