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ロボットやIoTの専門メディア「ロボティア」代表

CA-SSIS / Shutterstock.com

人工知能(AI)の活用が期待される分野のひとつに新薬開発(=創薬)がある。米AI創薬スタートアップ「twoXAR」は今年3月、ソフトバンクベンチャーズ、アンドリーセン・ホロウィッツ、OS Fundなどから、約1000万ドルの資金を調達。事業の本格的な拡大を目指す旨を発表した。同社サイトには、AIがもたらす新薬開発への影響が簡潔にまとめられている。

同社はリリースで「これまで、ひとつの新薬が開発されるまで、平均10〜15年間にわたり、数百億円が投資され、その時間とコストの大部分は新薬の候補となる物質を探す過程に投入されてきました」とし、自社のAIプラットフォームが「従来の創薬プロセスをより効率化、また予測可能にします。新薬開発プロセス全体も加速され、産業全体のリスクとコストを軽減する可能性も秘めています」と述べている。

twoXARは2016年頃から、スタンフォード大学、シカゴ大学、ニューヨーク・マウントサイナイ病院などと連携し、希少皮膚疾患、肝臓がん、糖尿病性腎障害、アテローム性動脈硬化症、リンパ管奇形、先天性表皮水疱症などの病を治療するための新薬プロジェクトを進めている。

代表を務めるAndrew M. Radin氏は、筆者とのやりとりのなかで「日本のみなさんにお伝えしたいことがたくさんある」と、ふともらしていた。おそらく、高齢化によって医療・福祉コストが限界を迎えつつある日本のような先進国でこそ、「新薬開発×AI」が真価を発揮するとふんでいるからだろう。

なお同社は、ソフトバンクベンチャーズから投資を受けているだけではなく、日本の医薬メーカー・参天製薬の米国子会社であるサンテンコーポレーションと提携。2017年から、緑内障を治療するための新薬開発にも注力している。

一方、韓国の国立大学KAISTは4月中旬、薬物と薬物、また人間と薬物の相互作用を正確に予測する「DeepDDI」というシステムをお披露目した。従来の相互作用予測では、複数の薬物を同時に使用した際の相性や副作用を正確に推し量ることが難しく、一定の可能性を示す程度にとどまっていた。しかし、人工知能システムDeepDDIを用いることで、その予測精度を格段に高めることができたという。

DeepDDIは、19万2284個の薬物間の相互作用を92.4%の精度で予測する。また、ふたつの薬物を服用した際に起こりうる副作用の原因、報告された副作用を最小限に抑えることができる代替薬物、また特定の薬物の薬効を弱める食品や成分などを予測し、その結果を英語で出力する機能を備えている。研究をリードするKAISTのイ・サンヨプ教授は、「複合的に投与される薬の副作用を低下させる“効果的な薬物治療戦略”を提案できるテクノロジー」と、DeepDDIを解説している。
 
人工知能は膨大なデータの中から一定のパターンを発見するのが得意であり、時に人間が見抜けなかった共通項まで発見しうるケースがある。新薬開発、もしくは薬物同士の組み合わせを分析するという用途において、間違いなくその能力が重宝されていくはずである。

文=河鐘基

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