偽名使い記者騙す? トランプ、フォーブス長者番付への異常な執念

(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領は、本誌が1982年に開始した米長者番付「フォーブス400」にこれまで入った総計1500人余りの中で、誰よりも番付入りに執着していた人物だったことは、以前から指摘してきた。そんな本誌の見解を改めて裏付ける新たな証拠が、元記者のジョナサン・グリーンバーグによって公開された。

グリーンバーグは、本誌の記者を務めていた1980年代、まだ黎明期にあった同番付の作成のために行った電話取材の録音を最近発見し、米紙ワシントン・ポストへの寄稿記事で公開した。そこには、広報担当者の「ジョン・バロン」という架空の人物になりすましたトランプが、自身の保有資産額を大幅に水増しする様子が記録されていたという。

トランプは1982年の初回番付からランキング入りを果たしていたが、グリーンバーグによれば、実際の資産額は本誌の推定よりもはるかに低く、本来であれば1982~84年の3年間は番付入りすべきではない水準にあったことが後に判明した。

グリーンバーグの証言は、トランプが数十年にわたりフォーブスに示してきた人物像と完全に一致する。私自身も大統領選の選挙期間中だった2015年、トランプを数時間にわたりインタビューし、保有資産やフォーブスとの関係について話した内容を記事にまとめている。本記事では、グリーンバーグの証言によって補強された、トランプのフォーブス長者番付への執着に関する5つの事実を紹介しよう。

1. 「トランプ・ルール」

今となっては、事実をあいまいにとらえることで広く知られるようになったトランプだが、本誌は数十年間にわたり、そんな彼への取材に苦戦してきた。初回から15回目までの番付を担当したハロルド・セネカーは「私たちはすぐに、彼が提示した額をまずは3で割り、そこから精査するようになった」と語る。本誌は毎年、トランプの保有資産額の推定のため100人前後の関係者を取材するが、この「3で割る」のルールは長年にわたり「トランプ・ルール」の通称で知られてきた。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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