だが、54歳の財閥の御曹司は、クリニックには現れなかった。入院する予定だったクリア・スカイ・リカバリーの医長によると、「16日午前に入院の予定だったが、来なかった。同日のうちに、亡くなったとの連絡があった」という。
何十年も前から薬物依存の問題に苦しんでいたメロンは、実験的な治療を受けるため、今年に入り何度もメキシコを訪れていた。米国では使用が認められていない、幻覚を起こす特性を持ったイボガインによる治療に引かれていたのだ。
クリニックの医長はメロンの死因についてコメントを避けたが、報道によれば、メロンはアヤワスカという別の幻覚剤も試していた。その服用後に心臓発作を起こし、亡くなったとされている。
遺された「問題」
3人の子供たちを残して亡くなったメロンは、その他にも複数の問題を残していった。その一つが、メロンが持つ5億ドル(約537億円)相当とされる仮想通貨リップル(XRP)が今後、どうなるのかということだ。メロンが保有するXRPの価値は今年に入り、一時は10億ドルを超えていた。3月にはフォーブスの取材に対し、価格の急落に伴い買い増していることを明らかにしている。
XRPの初期の投資家であり、仮想通貨の人気が急上昇する前に200万ドル近くを注ぎ込んでいたメロンは米国内の複数の場所に所在する別人として、コールドストレージに保管しているXRPのデジタルキーをつくっていたという。巨額の仮想通貨を手に入れたメロンは、身の安全を懸念。まるで戦車のような装甲車を購入し、警護担当者も増やしていた。
目指していた「責任ある人生」
メロンが闘っていたのは、麻薬性鎮痛薬のオピオイドだ(米紙ニューヨーク・ポストは2016年、メロンは世界的に最も広く使用されている鎮痛薬のオキシコンチンを驚くほど大量に服用しており、その量は1日80錠に上ると伝えた)。
ロサンゼルスでメロンのパーソナルシェフとして働いていた女性によれば、「彼は本当に健康を回復したい、もっとたくさん、健康的に食べられるようになりたいと思っていた」。メロンはフォーブスに対しても、「責任ある人生を送ろうと努力している」と語っていた。