私たちの周りには「単位」があふれています。よく使うのは、「円」「分」などですが、この2つの「単位」だけでも、私たちの生活に深く影響を与えていることがわかりますよね。
単位の機能はわかりやすく言えば、「定量化される=比較できるようになる」こと。この単位という機能をマーケティングに活かすことができないか、というのがこの記事の趣旨です。
一例をあげます。私はビール、とりわけクラフトビールが好きなのですが、IBUという単位を知っています? IBUとは「International Bitterness Units」の略で苦味を表す単位です。通常よく飲まれるビールはIBUが20程度で、苦いビールでも40〜60程度です。
そこにミッケラーという世界的に有名なクラフトビールメーカーが、「1000 IBU」という製品を出しました。そもそも人間の味覚はIBUが80〜100ぐらいまでしか感じることができません。
100以上のIBUは人間にはわからないのに、通常のビールの50倍苦いビールと言われると飲んでみたくなるのは私だけでしょうか。ちなみに私は飲んだことがありますが、びっくりするほど苦い。でも飲みたくなるし、飲んだことを人に話してみたくなりますよね。
ほかにも、同じ食のカテゴリーでいえば、蒙古タンメンやココイチの辛さの単位も同じような「試してみたくなる」効果があるといえます。
世界的なスポーツメーカーも、新しい単位を作りました。「FuelBand(フューエルバンド)」はナイキが2012年に開発した活動量計で、ランニングなどの運動だけでなく日常の家事もまとめて運動量を測れるブレスレットタイプの商品です。そこに提案されたのが、名前にもある「Fuel」というナイキ考案の活動量の新単位です。
ナイキが新単位「Fuel」と共に、2012年に開発した活動量計「FuelBand(フューエルバンド)」
ナイキ曰く「NikeFuelは、朝のワークアウトから夜の本格的なワークアウトまでのあらゆる活動を計測する、世界初・世界共通の活動量の計測単位」とのこと。「カロリーでいいんじゃないか」と思う人も多いかもしれませんが、ナイキが語るとその単位が新しいもの、良さそうなものに聞こえてきます。
ちなみに、現在はFuelBandの開発は終了していますが、発売された当時はセンセーショナルにとりあげられ話題になりました。
全く違う視点として、感情にも単位をつけることができたら世の中の捉え方がガラッと変わるかもしれません。久保ミツロウ、能町みね子、ヒャダインが出演するバラエティ番組『久保みねヒャダこじらせナイト』にて、久保が「死にたい」と思うことについて、提案した単位が「シニタ(snt)」です。