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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

ホンダのインサイト

変われば変わるものだ。先月のニューヨークで僕は、あるクルマにいい意味で驚かされた。

1999年に登場したホンダの初代インサイトは、もっとも燃費のいいハイブリッド車であるには、どんなデザインがよいかまさに「実験中!」というスタイリングだった。のっそりしてかわいいオーストラリアの有袋類、ウォンバットをヒントにしたのかな、と思っていた。

ところが、4月のニューヨーク・モーターショーで発表された3代目インサイトは、てらいのないスポーティ・セダンのようで、特にすっきりしたノーズのまわりには「ホンダらしさ」とガンダムチックな匂いさえ感じられるじゃないか。

米インディアナ州の工場で生産させるこの新型インサイトは、今年1月のデトロイト・モーターショーで初めてお披露目されたコンセプトとほとんど違いがない。これは、デザイナーたちが最初からホンダのデザイン・フィロソフィーを理解して描き出したという証拠で、とても嬉しいことだ。だって、「コンセプトはカッコ良かったのに、おやおや……」というケースが少なくないからね。

新インサイトを見て感じるのは、カーメーカーがついに、ハイブリッドや電気自動車だからって、パラレル・ユニバースからやってきた奇怪なデザインにしなくていいと気づいてくれたのかも、ということだ。

化石燃料車でないからといって、ショールームに並ぶ時にお客さんにショックを与えるような姿である必要はない。もっと「乗ってもいい」と思わせるべきだから。



実際、新インサイトにはシビックを彷彿させるしっかりしたデザイン・ヒントがあると思いきや、ホイールベースも同じ2.7mを採用している。ちょうどアコードとシビックの中間、という立ち位置を見事に実現している。

なにしろ競争力のあるハイブリッドであることが使命の新インサイトは、1.5Lの4気筒アトキンソン・サイクル式ガソリンエンジンを搭載し、これに電気モーターとリチウム・イオン電池パックを組み合わせている。これは、ガソリンエンジンが発電機となって電気モーターを動かし、かつバッテリーを充電するハイブリッド方式だとホンダは言う。

システムパワーの合計は151ps。ホンダによれば、このコンビネーションで市街走行の場合、23km/Lを実現するそうだ。だとすると、リアルワールドではプリウスの米国仕様と変わらない燃費になる。日本仕様の燃費表示がまだ明らかになっていないので、米国の数字に触れているわけだ。でも、それよりもユーザーにとっては、新型インサイトのインテリアが奇抜ではなく、従来のクルマと差異なく、しかもスタイリッシュだということのほうが魅力的なはずだ。

文=ピーター・ライオン

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