ビジネス

2018.04.21

中国「ネット浄化」政策でIT業界が悲鳴、企業価値も下落へ

Rawpixel.com / Shutterstock.com


監視コスト増大で収益悪化

政府のネット検閲強化は、企業にとってコスト増につながっている。Bytedanceの創業者、Zhang Yimingは先週公表した謝罪文の中で「我々は誤った道を歩んだ」と述べ、コンテンツフィルタリングシステムを修正し、監視スタッフを6000人から1万人に増やすことを明らかにした。

Kuaishouもコンテンツのレビューを行う人員を3000人から5000人に増やし、政治的意識の高いスタッフを募集するとしている。北京の中国政法大学のZhu Weiによると、これまで、両社ともAIベースのアルゴリズムを使ってパーソナライズしたレコメンドを行っていたが、ユーザー数を増やすためにセレブのゴシップ記事など「低俗」なコンテンツを重点的に勧めていたという。

「これらの企業は、規制当局の方針に十分注意を払っていなかった。今後は責任感をもって自社サイトの監視に当たるべきだ」とZhuは話す。

広州市に本拠を置くコンサルタント会社「iiMedia」の創業者、Zhang Yiは、企業側が自社サイトの「浄化」を強化すればするほどユーザー離れが進み、企業の評価額に悪影響を及ぼす可能性があると指摘する。

Zhang によると、BytedanceやKuaishouはこれまで娯楽の少ない地方都市のユーザーに面白いコンテンツを提供し、急速にファンを増やしていたという。投資家はこの点を評価して両社に何億ドルも出資してきたが、人気コンテンツが削除されると多くのユーザーが離脱する可能性がある。

「これらの企業に対し規制が厳格化されるリスクを投資家は過小評価していた。規制によって企業の成長が鈍化すれば、評価額はより適正な水準に調整されるだろう」とZhangは話す。

中国政法大学のZhuは以前から、これらの企業に対する規制強化の必要性を感じていたという。「彼らはあまりにも急激に成長し過ぎた。社会的責任を果たすことができないのであれば、成長を鈍化させるべきだ」と彼は話した。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事