ビジネス

2018.05.09

なぜ仲間の死に直面しても、アフリカでビジネスを続けるのか?

日本植物燃料の合田真CEO

3月24日発売、働き方について特集した「フォーブス ジャパン」5月号。テクノロジーの進歩によって多様な働き方が実現可能となった。時間、場所、お金、慣習──。既存の枠組みがディスラプションされた社会で、「自分らしい働き方」とは何なのか? 未来をつくるイノベーターと企業にそのヒントを探る。


日本とアフリカ、エネルギーと金融。あらゆるボーダーを越えて精力的に活動する合田真。だれもやらないビジネスに取り組み続けるモチベーションは、どこから来るのだろうか。

合田真はいまや、アフリカはモザンビークに、新しい金融システムを構築しつつある人物として語られることが多い。

だが、そもそもモザンビークでビジネスを始めたのは、熱帯植物「ヤトロファ」を栽培してバイオ燃料を生産し、より多くの電気のない地域に電気を届ける事業を始めたため。そのバイオ燃料も、債権回収の仕事で出合った燃料会社がきっかけでのめり込むようになったのだという。

業種の垣根を自由に飛び越え、最後のフロンティアともいわれるアフリカに渡った合田のパワーとモチベーションは、いったいどこから来るのだろうか。

何が始まりだったのか。合田が語った話のひとつに、アンデス山脈で出会った女の子のエピソードがある。

山岳部に所属し、登山に明け暮れた大学時代のある年。山岳ガイドを目指して高山での経験を積むために、合田は数カ月をかけアンデス山脈でトレーニングに励んでいた。当時の彼は、自分の責任と能力で生きていると自負していた。

しかしある夜、登山の合間に「飲んだくれて」いた合田の前に、日本でいえば小学校3年生くらいの女の子が、手作りのお菓子を木箱に入れて売りに来た。

「その時急に、ああ、彼女のほうがずっと努力してるんだ、と思ったんですよ。自分は恵まれているんだと」

いまの暮らしができるのは、先進国日本で生まれたからこそ……。

「それが、自分の能力をより社会に活かせる生き方をしようと思ったひとつのきっかけでした。僕にしかできない仕事をするのが、僕の責任なんだと」
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文=北島英之 写真=宇佐美雅浩

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