「近代ゴルフ3巨人」のひとりが何度も足を運んだ、ゴルフコースの魅力とは

ペンナルド・ゴルフ・クラブ

グレートブリテン島の南西、ウェールズの端に位置するペンナルド・ゴルフ・クラブは、海抜60メートルの崖の上に広がるリンクスコースである。「近代ゴルフの3巨人」のひとり、ジェームス・ブレイドが何度も足を運んだ、絶景のゴルフコースの魅力とは。


ウェールズの中核都市のひとつ、スウォンジーから西へ約13km行ったところにあるペンナルド・ゴルフ・クラブは、期待していたものと実際の素晴らしさが乖離していたという意味では、自分たちの事前の勉強が足りていなくてよかったと思うくらい素晴らしかった。全英オープン等の開催経験をもつチャンピオンシップコースでこそないが、多くのアマチュアイベントを主催している。

海抜60メートルの崖の上に広がるリンクスコースが、なぜ砂に囲まれているのか。なぜ周りにある数々の至宝のコースと並んで絶賛され、「空に浮かぶリンクス」と呼ばれているのか。

それは海からの風によって運ばれた砂が長きにわたって崖の上に蓄積されてきた偶然、息をのむほどの美しい景色、風によって何通りにも難易度が変化するタフなホールの連続、すべてが重なったことによると思料される。

ペンナルドは、ウェールズでもっとも古いゴルフ場のひとつだ。その歴史は、1896年、土地の所有者だったトーマス・ペンリスが数名の選ばれた者たちにプレーを許可したところから始まる。ペンリスはクラブメンバーを厳密に管理することを好み、会員数を20名に制限していたので、多くの人々がメンバー登録待ちリストに名前を連ねていたようだ。

ペンナルドが有名になったのは、1908年、ジェームス・ブレイドが当時の4ギニーで招待されてからである。彼は全英オープンを5回制覇しており、ハリー・バードンやジョン・テイラー等とともに「近代ゴルフの3巨人」と呼ばれている。

コース設計家としても有名で、スコットランドのブローラ・ゴルフ・クラブの改造などを手がけた。初回の招待の後、ブレイドは11年、21年、31年と合計4回ほどペンナルドを訪れて、ホールの設計とプレーをしている。


ゴルフ場のホームページにて「シグネチャーホール」と紹介されている、崖と海に囲まれた16番ホールからの景色

それから現在に至るまで、コースに大きな変更は加えられていないと仄聞しているが、フレッド・ジョウ・ツリー、C・K・コルトン、ドン・スティールといった先人設計家により修正が加えられたそうだ。

コースの全長は、レギュラーティーだと6267ヤードのパー71。バックティーから打っても6809ヤードのパー72。ややホッとする距離で、決して長いコースではないが、とにかくチャレンジングである。バンカーはコースの周りに戦略的に配置されており、ほかにも、独特の地形を生かした数々の障害物がプレイヤーを待ち受ける。
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文=小泉泰郎

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