ワイル・コーネル医科大学が運営するアルツハイマー予防クリニックの院長補佐でもあるイタリア出身のリサ・モスコーニ助教(神経科学)は、米国に移住した24歳のころ、それまでの地中海食から一般的な米国の食生活に変わったことで、体と仕事に大きな悪影響を受けたという。
その経験をきっかけに、栄養学のほか食事と脳の健康の関係に関する研究を深めてきたモスコーニは、新著「Brain Food: The Surprising Science of Eating for Cognitive Power」の中で、脳の健康を促進する5つの「ブレインフード」を紹介している。
1. キャビア
キャビアにはオメガ3脂肪酸(脳に必須)、コリン(ビタミンB群に分類され、記憶との関連が指摘される)、ビタミンB6とB12(神経系を正常に保つ)、鉄やマグネシウムなどのミネラル(血液と組織の健康に必要)が含まれている。また、ビタミンAやビタミンC、セレンといった強力な抗酸化物質と結合したタンパク質の含有量も豊富だ。
高価なキャビアに代えて紅鮭やサバ、オキスズキ、イワシ、カタクチイワシなど脂肪分の多い魚を取ることでも、脳に欠かせないオメガ3脂肪酸を摂取するこができる。
2. 色の濃い葉菜類
ホウレンソウ、スイスチャード、タンポポの若葉、ケールなど神経系の健康に必要なビタミンに加え、ミネラルや食物繊維など、病気と戦うために必要な栄養素が豊富に含まれる。
3. ベリー類
ブラックベリーやブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、ダークチェリー、ゴジベリー(クコの実)、マルベリー(桑の実)など、加齢による記憶力低下の予防を助けてくれる抗酸化物質が豊富に含まれている。脳の主なエネルギー源であるブドウ糖も含むが、血糖指数(GI)は低い。
4. エクストラバージンオリーブオイル/アマニ油
老化防止に役立つオメガ3脂肪酸やビタミンEなどを含む。エクストラバージンオリーブオイルは心臓に良い一価不飽和脂肪酸も豊富だ(心臓に良いものは脳にも良い)。
5. 生のカカオ
細胞の老化を防ぎ、心臓病のリスクを低下させることが知られている強力な抗酸化物質のテオブロミンを多く含む。テオブロミンはカフェインと同様、血管を拡張して脳への血流を改善する作用を持つが、カカオのような興奮作用はない。カカオティーを作ったり、スムージーに入れたりしてもいいだろう。
カカオ含有率80%以上のダークチョコレートにも、テオブロミンと天然の抗酸化物質が豊富に含まれている。さらに、チョコレートは幸福感ももたらす。