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2018.04.15 12:00

日本車シェアが50%のオーストラリア 中国車は割り込めるのか


安全性といえば、中国車の衝突安全性は酷い結果を残してきた。2007年にユーチューブで公開された、中国製ブリリアンスBS6セダンが時速64キロのオーバーラップ前面衝突実験で悲惨な結果を映した映像は今でも覚えている人が少なくない。なにしろ、Aピラー(前)とBピラー(中央)が完全にグシャグシャだったのだから。

LDV T60も含めて、中国車はどれもまだオーストラリア当局によるクラッシュテストは終わっていない 。しかし、2012年に中国車のセールスが止まった原因は、アスベスト恐怖だった。グレート・ウォールとチェリー併せて2万5000台ものクルマのエンジン・パーツにアスベストが使われていることが分かって、リコールとなった。これは先進国ではとんでもないことだ。

また、デザインの弱さも不人気の原因だ。中国車は、日本車や韓国車のスタイリングに大きな「ヒント」を受けたものがほとんどだから。

結局、中国車が世界の市場で成功していくためには、日本車を見倣っていくことが重要だろう。飛躍的に向上している韓国車も参考になるが、いずれにしても外観を単にマネるだけでなく、国際的な安全基準に則していて、毒性のない素材を用いたクルマを製造しなくてはならない。いや、マネと言って悪ければ、日本や韓国のクルマのデザインを手本にして、それぞれのブランドらしいユニークなスタイリングを作っていかなくてはならない。

高度な安全性と、個性的なデザインを備えたクルマを生みだすことは、中国にとって一朝一夕にできることではないだろう。でも、それこそが最も重要な姿勢で、それを日本のカーメーカーは着実に実践したからこそ、世界で信頼される地位を獲得してきた。60ブランドもが競争するオーストラリア市場で、スバルや三菱も人気があり、日本のカーメーカーを全部合わせると50%以上のシェアを握っていることが、それを物語っている。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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