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ジョゼ・ネヴェス ファーフェッチ 創業者/CEO

スタートはプログラマーだった。19歳でファッションリテイルのソフトウエア開発に携わった彼は、「ステークホルダーすべてが美的でクリエイティブだった」ファッション業界と出合い、たちまち、麗しのインダストリー「ファッション」の虜になる。彼はthe love of fashionの熱に導かれ、迷わず、愛すべきファッションの世界へ歩を進めた。

彼の名はジョゼ・ネヴェス。ファーフェッチの創業者にしてCEO。質量をもたないデジタルの世界と美に質量を与えるファッションの世界をつなぎ、デジタルネイティブとラグジュアリーファッションに新たな回路を開いた人物である。

ファーフェッチ設立前夜、インターネットの爆発的な普及を横目に、彼はICTの先端技術とファッションの理想の関係を模索し始めていた。「ファッションを愛するすべての人々のため、文化やクリエイティビティの価値を理解するファッションのためのプラットフォームが必要だと感じていた」からだ。

そのアイデアから生まれた事業は、5か国25店のセレクトショップが参加するプラットフォーム、ファーフェッチとして2008年にローンチする。そこからの同社の成長と躍進は語るまでもない。価格競争に陥ることなく、他では入手できない製品が並ぶユニークな品揃えで、個性の表現としてのファッションの本質をサポートする真摯な姿勢も成長の追い風になった。近年は、ラグジュアリーブランドとの契約も増えている。

「ラグジュアリーファッションの新しい消費者、ミレニアル世代の購買力は目を見張るものがあります。特に中国のデジタルネイティブはこの業界の成長ドライバーです。新しい消費社会で成功を収めるブランドは、どこもデジタルファーストを戦略とし、今日のアメリカの百貨店は売上の約30%をECが担っています。百貨店の売場とECは、排他的な関係でないことが理解されているのです。

それに対し、日本のラグジュアリー市場は非常に大きく洗練度も高いが、オンラインに対してはまだ保守的と言えます。私たちはそこを変えていきたい。その先には、ブランド、リテール、そして消費者まで、すべてのステークホルダーに大きなポテンシャルがあるからです」

今年2月には、シャネルとのイノベーションパートナーシップ締結のニュースも話題になった。同社の実店舗に、ファーフェッチが開発した「Augmented Retail(拡張リテール)」技術を実装し、高度にパーソナライズされた、上質なカスタマージャーニーを提供するプロジェクトである。

「実店舗が今後も、ブランドと顧客をつなぐ重要な舞台であり続けることに変わりはありません。私たちが次に目指すのは、ファーフェッチで培った知見と技術を、顧客に気づかれぬよう、シームレスに実店舗に実装し、新しい顧客体験を紡ぐことです」

デジタルでは当たり前のパーソナルサービスは、消費者の価値観を変え、やがて店舗におけるすべての体験もパーソナル化される時代になる。シャネルはそれにいち早く気づいたのだ。

「私たちの活動はファッションを愛するすべての人のためにある。その使命を忘れることなく、ファッション業界のポジティブな勢力でありたい」。そう語るCEOのまなざしには、いまも19歳の青年の未来を変えた「the love of fashion」が宿っている。


JOSÉ NEVES(ジョゼ・ネヴェス)◎1974年、ポルトガル生まれ。ロンドン在住。90年代半ばにシューズブランドSWEARを立ち上げた後、2008年にラグジュアリーファッションに特化したECプラットフォーム、ファーフェッチ(Farfetch)を設立。15年にはイギリスの高級ブティックBrownsを買収。近年は実店舗の支援にも注力し、世界中のブランドとリテーラーに最新のテクノロジーとビジネスソリューションを提供している。

FARFETCH
https://www.farfetch.com/jp

Promoted by FARFETCH JAPAN text by Kazuo Hashiba photograph by Shuji Goto edit by Akio Takashiro

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