Close

PICK UP

最短で我が子を医者にする方法

Billion Photos / shutterstock

近年の医学部への過熱ぶりとその背景については前回のコラムで述べた通りだ。だが、医学部志望者の増加の理由は、これだけではない。医学部は、以前に比べ金銭的なハードルが下がってきている。

私立医学部の学費が相次いで値下げ

医学部の定員の増加をはるかに上回るペースで志望者が増えたのは、かつて医師の子弟や大金持ちの子しか進学できなかった私立医学部で、相次いで大幅に学費が値下げされたことも一因である。

もちろん、すべての私立大学で値下げがされたわけではない。しかし、いくつかの私立医学部の学費が大幅に値下げされたという事実と、そのアナウンス効果による受験動向への影響は大きい。

医学部が門戸を開いているという情報は、受験生や保護者、学校教員の間に瞬く間に浸透し、折からの経済不況の世相を背景に、受験者はますます増えることとなった。

20年ほど前までは、私立医学部は学費が高額すぎるというイメージがあったため、一般受験生にとっては、受験校として検討の土俵にすらあがらなかった。

その頃は、国公立医学部よりも難関の慶應大学や自治医大など数校を除き、6年間で学費だけで3000万円超は当たり前で、寄付金や高額な教材費、下宿代なども考えると年間に6、700万円ほどかかり、とてもサラリーマンが支払える額ではなかった。初年度納付金が寄付金を含め1000万円を超えるところもあった。

しかしここ10年で、私立医大の大幅な学費値下げが相次いだ。2008年に900万円もの値下げを行なった順天堂大学をはじめ、6年間の学費が2000万円ほどの大学も増えてきたのだ。

6年間での学納金が2000万円前後なら、年間平均350万円以下となる。これなら、一般のサラリーマン家庭でも、貯金を崩したり、奨学金や学資ローンを使ったりなどして、なんとか学費を捻出できる可能性がでてきた。成績優秀者に対して、学費減免や修学資金の制度のある医学部も増えてきた。

また、少子化により、祖父祖母からの援助が、一人もしくは数人の孫たちに集中するようになった。2013年4月からの贈与税減税の効果もあって、若年者一人あたりへの教育資金は増えているようだ。

もちろん、学費の安い国公立医大を目指せばいいのだが、国公立の医学部はどこも超難関。並大抵の学力ではとても合格できない。私立大学の値下げは、どうしても我が子を医者にしたい親にとって、一筋の光明なのだ。

値下げされた日本の私立医大の学費は、アメリカの有名大学の一般学部の学費と比べても、高額ではないということがわかる。参考までに、アメリカの大学の学費を見てみることにしよう。

文部科学省の「諸外国の教育統計・平成29(2017)年版」には4つの個別の大学の学費が挙げられている。シカゴ大学は、年間425.3万円(47514ドル)、マサチューセッツ工科大学は年間389.3万円 (43498ドル)、スタンフォード大学は年間387万円(43245ドル)、ハーバード大学は年間378.5万円 (42292ドル)である。これらを6年間で換算すると、2300万円~2500万円弱となる。

アメリカの医学教育は大学院(メディカル・スクール)からなので、単純比較はできないが、日本の私立医学部は、アメリカの一般エリートの高等教育にかかる費用とほぼ同等の金額に近づいてきたと言える。

文=原田広幸

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい