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2018.06.08

文字通り救世主。東大発ベンチャーがライフサイエンスを革新する〈#2〉

あらゆるものごとが猛スピードで変化する今、大きな可能性を秘めたスタートアップが次々と生まれている。企業によるスタートアップ支援も盛り上がる中、独自のスタイルを築いているのが、マイクロソフトの支援プログラム「Microsoft for Startups」だ。支援という枠を超えた、マイクロソフトとスタートアップのパートナーシップはビジネスにどんな変革をもたらすのか、実例から見てみよう。


東大研究室から生まれた異色のスタートアップ。7億円の資金調達

世界各国で医療診断支援AIへの関心が高まりつつある今、注目を集めている日本発のベンチャー起業がある。東京大学の同じ研究室の3名が設立したLPixel(以下、エルピクセル )だ。2014年に渋谷のコワーキングスペースから3人でスタートし、現在は45人のスタッフを抱える。さらに、2016年には7億円の資金調達に成功するという、まさにスタートアップドリームを体現している。

そんな同社が提供しているのは、ライフサイエンス全般の画像解析ができるプラットフォーム「IMACEL(イマセル)」を始めとしたサービスだ。

医療や製薬、農業といったライフサイエンスの分野では年々、扱う情報量が膨大に増え続けているという。というのも、MRIや電子顕微鏡といった医療機器や研究機器が発達し、画像から膨大な情報量を取得できるようになったためだ。

しかし、画像解析にはスキルが必要なうえ、手間がかかる。医療機関や研究機関などでは、いまだに医師や研究者が画像を見ながら、見つけるべき細胞の数を一つひとつカウントしていることもあるという。医師や研究者の負担を減らし、本来の業務に集中できるよう、エンジニアのスキルがなくても画像解析できるようにしたのが、「IMACEL」というわけだ。エルピクセルの設立メンバーの一人であり、CEOを務める島原佑基は同社の強みをこう語る。



「私たちが東京大学で所属していたのは、バイオ画像解析を手がけていた研究室です。バイオ実験、エンジニアリング、情報解析はそれぞれが専門分野として確立されており、一つの研究室で同時に行われることはほとんどありません。しかし、私たちの研究室には、それらを身につけてきたメンバーが集まっていたため、一つの研究室の中でバイオ実験から、観察するための顕微鏡の開発、さらには画像解析まで行うことができたのです」

自分たちの基礎研究をサポートするために磨き上げた画像解析技術。それを事業化しようと設立されたのがエルピクセルだ。そんな同社の躍進を支えているのが、マイクロソフトのスタートアップ支援プログラムだという。

「2016年にIMACELのプロトサイトがMicrosoft Innovation Awardの審査員特別賞を受賞しました。それで自信がついた私たちは、一気に製品開発を進めました。この受賞はとてもありがたかったですね。さらに、受賞後にはスタートアップ向けの技術環境支援プログラム『Microsoft BizSpark』(現:Microsoft for Startups)を受けることになりました。私たちはそれまであまりクラウドを使っていなかったので、マイクロソフトさんにハンズオンいただきながら製品開発を進めることができて、とても助かりましたね」

マイクロソフトによる支援は、そこで終わりではなかった。製品開発の次の段階に進んだ時、さらなる支援があったという。

「マイクロソフトさんの営業担当の方が、Microsoft Azureと一緒に弊社のサービスをクライアント企業に提案してくださることもあるのです。弊社だけではまとまらない案件でも、Microsoft Azureと一緒に持っていくことで、例えば医療で重要なセキュリティ面でより深い提案ができますし、クラウドに苦手意識を持つクライアントにはどんな資料をお持ちしたらいいか、という相談に乗っていただくこともあります。支援を受けることになった時、『クラウドが無償で利用できるだけだろう』と思っていたのですが、本当に幅広くご支援いただいていますね」

目指すのはライフサイエンス時代のパイオニア

マイクロソフトの支援を受け、着実に実績を積み重ねてきたエルピクセルが今、力を入れているのが、医療診断支援AIだ。

「会社を立ち上げた当時は今ほどAIが受け入れられる土壌がありませんでした。しかし、ここ2年ほど、研究者や医師の方から、『AIで何かできないか?』と声をかけられることが増え、風向きが変わったと実感しています。そこで開発したのが、医療画像診断を支援するシステム『EIRL(エイル)』です。日本は脳ドックを生み出した国だけあって脳の画像が豊富ですし、医療画像診断技術が非常に高いのです。また、我々にはライフサイエンスのバックグラウンドがあります。それらの強みを生かしたのがEIRLというわけです」


頭部動脈瘤、胸部X線、肝臓がんなど、病巣の位置を画像解析によって検出する。医師の絶対的パートナーになりうる高度な技術だ。

EIRLを展開する上でカギとなるのが、さまざまな企業とのパートナーシップだという。

「実は、我々が単独でできることは限られています。弊社は医療機関ではないので、AIを作るためのデータを持つことができません。そのため、医療データを約20の医療機関と連携し、研究データを提供していただいています。また、2018年4月には富士フィルムさん、キヤノンさんをはじめ、複数のベンダー様と提携しています」

EIRLは医師がMRIやCT、内視鏡などの画像を見た際、注意すべき点をハイライトで知らせるAIだ。しかし新規にEIRLを単独で購入してもらうことはハードルが高い。しかし、他社の医療用画像管理システム「PACS」等にEIRLを搭載すれば、医師は使い慣れたシステムで医療画像を見ながら、気をつけるべきところをAIに教えてもらう、ということが可能になる。

「我々の事業は、パートナーシップなくして成り立ちません。ですから、研究開発、製品開発、薬事関係、製品販売と、それぞれの分野で必要なパートナーシップを組んでいます」

そんなエルピクセルは、当初から海外での事業展開を見据え、着実に歩を進めてきた。

「我々はドイツやインド、シンガポールなどで共同研究を行っているのですが、それが可能なのはクラウドがあるからこそ。ただ、海外で事業を行うとなると、0からのスタートどころかマイナスからのスタートになりがちです。しかし、Microsoft Innovation Award審査員特別賞を受賞したことで、有利なスタートが切れた実感があります」


●日本マイクロソフトの発想の源
日本マイクロソフトはエルピクセルをいかにして支援しているのか。同社のコマーシャルソフトウェアエンジニアリング本部の窪田正史はこう話す。
「Microsoftのスタートアップ支援は、Microsoft for Startupsを管轄している当部だけでなく、全社を挙げた支援が出来るようになっています。スタートアップのステージや要望に合わせて複数の部署を跨ぐ様々な支援の提案が可能です」
時には、マイクロソフトの営業部隊がスタートアップと連携し、案件を進めることもあるという。エルピクセルの場合も、製薬会社や医療機関などを専門とする営業部隊が一緒に営業活動を行うことがあり、それは単なるスタートアップ支援ではなく、お互いのビジネスの可能性を大きく広げているようだ。
「弊社の強みはグローバル企業であること。そのため、『Microsoft for Startups』では、海外を目指す会社を支援できます。エルピクセルさんのような有望なスタートアップの成長に合わせ、Microsoftもパートナーとして一緒に育っていける関係を築いていけたらと思っています」


エルピクセルは、どんな未来を見つめているのだろうか。

「19世紀は科学の時代であり、20世紀は機械化が進んだ時代でした。21世紀は間違いなくライフサイエンスの時代になるでしょう。扱う情報量が増えただけでなく、それを解析できる時代になっているためです。この2~3年で、医療診断支援AIは主要プレイヤーが淘汰されていくでしょう。だからこそ、医療診断支援AIで結果を出し、ライフサイエンス×ITのパイオニアであり続けたいですね」

新しい時代を象徴する分野において、日本のみならず、世界を牽引する可能性を秘めたスタートアップ。さまざまな分野の企業と強みを生かし合うパートナーシップが、エルピクセルの躍進を今後も支えていくことだろう。


連載「The New "Partner Business" ─日本マイクロソフト─」
それは日本マイクロソフトのイメージを変えるインパクトがある。今までに無かったパートナービジネスの登場だ。
日本のスタートアップを支え、共に成長する新業態はなぜ支持されるのか。
4回の連載、そしてスタートアップたちの生の声を通じて、その全貌を明らかにしていく。


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