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間違いを受け入れるプロセス

─本の中ではデザイン・シンキングに重要なマインドセットとして、好奇心、行動主義、視点の転換、認識、過激なコラボレーションの5つが紹介されています。

デザイナーに重要なマインドセットはたくさんありますが、この5つを本では選びました。好奇心は、5歳児のように世界が不思議に溢れている感覚を持つこと。好奇心がエネルギーを生み、新たなことに挑戦する意欲を引き出してくれます。最も重要なマインドセットだと思います。

次に行動主義。デザイナーはとにかくやってみる。次々とプロトタイプを作って失敗を繰り返しながら上手くいく方法を見つける。最終的に最初と全く違うものになっているかも知れない。しかしそれを受け入れる。特定の結果にこだわらず、次を見据えることです。

視点の転換。これは間違った問題に取り組んでしまう人が多いからです。詩人で生計を立てるのは難しいことです。自分は素晴らしい詩だと思っても世の中に需要がないかも知れない。自分には解決できない問題に取り組むと人生は行き詰まってしまう。しかし、自分がそもそも何をしたかったのか? 一歩下がって考えると解決策は見つけられる。別の視点で問題を捉えなおす考え方です。

認識とは、人生はプロセスだと理解すること。間違いも無駄なプロトタイプも起きてしまう。プロセスの重要なポイントは、最初のアイデアや望んでいたものと違っても受け入れること。そこから素晴らしいデザインが生まれることがあるからです。ライフデザインとは旅です。目的地のことは忘れて旅のプロセスに集中すべきです。

最後の過激なコラボレーションは、とにかく人と話すこと。一流のデザインはチームから生まれる。一人きりで人生はつくれない。他の人が素晴らしいアイデアを持っているかも知れない。あなたの人生のメンターやサポーターを見つけることが重要です。

─日本では、誤った認識をなかなか壊せない人が多いです。

上手くいかないんだから変えるしかない。日本は高齢化社会、人生100年時代です。退職して一日中公園に座っていたり、ゴルフしているだけじゃつまらないですよね。知識もスキルも十分なのにどうしたらいいのかわからず、社会も持て余している。また、テクノロジーの進化で将来の不確実性は高まっています。一人一人が、人生をもっと上手にデザインする力が必要になってきています。


ビル・バーネット◎スタンフォード大学デザイン・プログラムのエグゼクティブ・ディレクター、ライフデザイン・ラボの共同創設者。同大でプロダクトデザインの学士号と修士号を取得。アップルのパワーブックやハズブロのアクション・フィギュアのデザインで高い評価を得る。デザイン・コンサルタント会社のCEOも務める。

構成=成相通子 写真=フジタヒデ 取材協力=タトル・モリ エイジェンシー

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