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また、ユーザーとのパートナーシップについての違いも大きい。ビットコインなどデジタルアセットにはユーザーサポートはないが、リップルはユーザーリレーションを重視し、顧客企業を支援している。「リップルは、金融機関が規制に合致し、安全に取引できるようサポートする。そして、顧客企業だけでなく取引所をサポートしている。これは我々の責任だ」とトーマス氏は強調する。

業界と人心を歪ませる投機熱

リップルの今後の課題については、「技術的にはスケーラビリティ。需要に応えるべくシステムを進化させねばならない」とトーマス氏は言う。

しかし、もっと悩ましい問題がある。「もう一つのチャレンジはデジタルアセットの投機が行き過ぎていること」だ。「仕事中に価格をチェックしたくなる社員もいる。投機に目を奪われず、顧客のところに行って役に立て!と、ペイメント事業に集中するよう努めています」と社内で取り組んでいるという。

だからこそ採用では、「Love for Payment」を重視している。「投機熱はブロックチェーン業界に歪んだ見方をつくっている。だから我々はペイメント企業であり、ブロックチェーン企業ではないと伝えています」とトーマス氏。

日常では、リップルのTシャツを着るのをやめたという。「世間はリップルの人は金持ちだと思っており、誘拐のリスクすらある。投機熱を望まないが、我々にはコントロールする術はない」。投機熱が業界と人心を歪ませていることが、大きな問題になっている。

リップルのエコシステム戦略

すでに三桁にのぼる国々の金融機関がリップルのサービス・ネットワークに参加している。日本では、SBIとの合弁会社「SBI Ripple Asia」がマーケティングを担い、61の銀行が参加している。

「リップルは技術を提供するが、ローカルのパートナーはマーケティングを担い、顧客を獲得するために重要だ」とトーマス氏。日本は成功例だと言う。

またリップルは、W3C(World Wide Webで使用される技術の標準化団体)でのオープンソースのイニシアティブであるInterledger(ledger=台帳)をリードし、様々な台帳間をつなぐプロトコルの啓蒙に努めている。この活動は、「システムにエネルギーを加えるため」という。つまり、リップルのビジョン実現に向けたエコシステムの醸成だ。

エンジニアなら誰でも参加できるW3CのInterledgerのオープンなイニシアチブでは、多数の少額課金が必要となるコンテンツなどのウェブサイト用のアプリケーション開発に着手している。

「ペイメントは、国や市場により異なり、摩擦が大きい。アマゾンは300人の技術者で対応しているが、小さな会社には難しい。世界のあらゆるペイメントを高効率にしたい」とトーマス氏は展望を語った。

文=本荘修二 写真=SLUSH TOKYO/Taichi_Kitazawa

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