成功を決めるのは「才能」でなく「運」 驚きの研究結果発表

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米野球選手のレフティ・ゴメスが、「優秀な選手ではなく運のいい選手になりたい」と言ったのは有名な話だ。しかし、成功する上で運が果たす役割はいまだに社会で軽視されており、成功は努力と才能のたまものだとする考え方が主流だ。世界中で収入格差が広がる中、このことは盛んに議論されるようになった。

イタリアのカターニア大学が最近発表した論文では、人間の才能が人生を通してどう使われるかをシミュレーションし、成功する上で運が果たす役割の特定を試みている。

チームが実施したシミュレーションでは、現実世界で見られる富の配分を正確に反映することに成功したが、特に興味深かったのは能力の分布だ。最も大きな富を得たのは、最も才能があるとされた人々ではなく、最も運が良いとされた人たちだった。

シミュレーションで使われたモデルでは、人々にそれぞれ一定レベルの才能(スキルや能力、知性などで構成される)が付与された。才能はサンプル集団内で無作為に、一般的な釣鐘曲線(ベルカーブ)形式で配分された。

40年のキャリアをシミュレーション

このモデルでは、幸運・不運な出来事が無作為に散りばめられた典型的な40年のキャリアを通じて個人を追跡。富は、幸運な出来事によって増え、不運な出来事によって減るものとされた。

シミュレーションの最後には、全員が資産順にランク付けされ、その資産が形成された経緯や、成功者に共通の特徴の有無を見極めるため、チームが各個人の「人生」を詳細に分析した。また、このプロセスを数回繰り返し、結果にずれがないことを確認した。

富の配分は現実世界のデータとおおむね一致していた一方で、富の分布は才能の分布とは一致しなかった。むしろ最富裕層は、才能面ではトップから程遠い結果となった。

では、富をもたらしていたものは何か? それはどうやら、純粋な幸運のようだ。チームが幸運度を元に個人を順位付けしたところ、幸運と全体的な資産の明確な相関関係が示された。最も幸運だった層は資産の面ではほぼ最上位に入った一方で、最も不運だった層は最底辺近くに入ったのだ。
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編集=遠藤宗生

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