マネジメントは要注意 部下に感じさせてはいけないこと

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私は先日、全く異なる企業で働く2人と別々に話す機会があった。2人とも素晴らしい実績を持つ、非常に良い社員だが、いずれもマネジメントに幻滅していた。

それぞれの状況は異なるものの、2人の不安は次の言葉に集約される。それは「自分の意見が真剣に受け止めてもらえない」というものだ。

2人とも思慮深い人物だが、会社の問題に関して自分が抱く懸念が全面的に否定されていると感じていた。多くの従業員が「自分の声に耳を傾けてくれない」「自分の意見は重要ではない」「自分は尊重されていない」と感じていれば、今後マネジメントにとって問題が生じる可能性が高いだろう。

前向きで生産的な関係

良いマネジャーは、価値のあるプロフェッショナルな従業員が自分のことを真剣に受け止めてもらいたいと思っていることを、本能的に理解している。こうした社員は、自分の意見に耳を傾け、評価してほしいのだ。それがかなわなければ、長年にわたり培った企業への忠誠心も、あっという間に崩れ去る。

マネジメント分野で数十年を過ごした私がこれまでに気づいたことの一つは、こうした共感力、あるいは「従業員とつながる能力」とも言える性質を持つマネジャーと、持たないマネジャーがいるということだ。この能力のあるマネジャーは尊敬を集め、効果的に仕事をこなしていたが、そうでないマネジャーは多くの問題に直面していた。

定量化するのは難しいが、私が人事部長として管理職採用の持続可能な成功モデルを構築するとすれば、従業員と前向きで生産的な関係を作る能力のある人は、私の作るマネジャー陣の食物連鎖の中でトップに近い位置に君臨することは確実だ。

冒頭に紹介した2人の会社への幻滅が重要な理由もここにある。両者とも一時はチームの主力メンバーだったが、現在はのけ者にされたように感じており、数か月以内に転職活動を始める予定だ。

従業員エンゲージメントで大切なのは、企業への感情的なコミットメント(献身)だ。このコミットメントは確固たるものではなく、問題のあるマネジャーが一人いただけですぐに揺らいでしまう。

職場では、小さなことの積み重ねが大きな違いを生む。どのような態度を取るかが重要だ。「自分の意見がもはや真剣に受け止めてもらえない」と感じる従業員は、会社について真剣に考えることをやめる可能性も高い。

編集=遠藤宗生

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