しかし、株式市場の反応をみるとザッカーバーグはこの難局をうまく切り抜けたようだ。フェイスブック株は11日の取引開始直後にやや値を下げたが、午後には上昇に転じ、当日の終値は前日終値から0.78%上昇の166.33ドルとなった。
フォーブスの「リアルタイム・ビリオネアランキング」でザッカーバーグは11日、株価の上昇を受けて1日で5億ドル(約534億円)の資産を増やした。ザッカーバーグは現在、世界7番目の富豪で総資産額は665億ドル(約7.1兆円)とされている。
投資家らがフェイスブック株に強気の姿勢をみせるのには理由がある。投資銀行「Jefferies」のテクノロジー担当のBrent Thillはこう述べる。「議員たちは今後のフェイスブックに打撃を与えるような、ターゲット広告の規制に向けた明確なプランを持っていない」
仮に規制が導入されたとしても、それは結果的にフェイスブックのメリットとなるとThillは話す。「フェイスブックの月間アクティブユーザー数(MAU)は20億人を超えており、圧倒的な規模を実現している。規制が導入されたとしても、それは彼らより小規模な企業をさらに不利な立場にすることにつながる」
公聴会の初日の質疑内容に関し、一部メディアからは議員らがフェイスブックのテクノロジーをよく理解していないとの批判も飛び出した。同社が個人データを外部に販売していると批判した議員もいたが、ザッカーバーグは繰り返し、その認識は誤りであると指摘した。
フェイスブックは外部の広告主らに対し、彼らの広告が適切な場所に掲載される手段を提供しているのだとザッカーバーグは説明した。
2日目の公聴会では、前日よりもテクノロジーに理解が深い議員からの質問もあった。民主党のニューメキシコ州下院議員、ベン・ルーハンはザッカーバーグに対し、フェイスブックがフェイスブックに登録していない人々のデータも収集しているのではないかと質問した。
これに対しザッカーバーグは、次のように述べた。
「誰かがサイトに繰り返しアクセスしようとしていたら、我々はそれを知る必要がある。悪意を持つ人物が、フェイスブックの公開プロフィールから不正に情報を集める行為を阻止しなければならない」
テック系メディアの間ではフェイスブックが、フェイスブックにプロフィールを持たない人々のデータを収集していると報じられている。このデータは「シャドープロフィール」と呼ばれている。
ルーハンはザッカーバーグに「それはつまり、世間で“シャドープロフィール”と呼ばれているものなのか?」と尋ねた。
この質問にザッカーバーグは「議員、私はその件に関して詳しくは知りません」と述べたのみだった。