マイクロソフトCEOに学ぶ、優れたリーダーのコミュニケーション術

マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(Photo by Stephen Brashear/Getty Images)


1. 全体像の提示から始める

ナデラが従業員に宛てた3月29日のメールの件名は、「私たちの未来の受け入れ:インテリジェント・クラウドとインテリジェント・エッジ」だった。この短い言葉を通じて、ナデラは従業員にメールを読むように仕向け、1文でメールの主旨を要約している。

2. 一貫した言い回しとテーマ

著書の中でナデラは、「われわれのビジネスの核心には、顧客が言葉にできず満たされていないニーズに対し素晴らしいテクノロジーで応えるための好奇心や欲求があるべきだ」と書いている。

クラウドに注力する方針を発表した3月のメールの中でも、ナデラは以下のように書いている。「われわれは、満たされておらず言葉になっていない顧客のニーズに対する深い理解を持ってして、イノベーションを推進しなければならない。(…)だからこそ、しなやかマインドセットの文化が重要なのだ」

また著書では、「積極的に多様性や包括性を追求すれば、最大の能力を発揮できる。(…)われわれはひとつの企業、ひとつのマイクロソフトなのだ。(…)われわれは、ひとつの共有されたミッションで結ばれる個々からなる家族だ」と述べている。

3月のメールでは、「共に学習し成長するには勇気がいる。互いに個々の力を引き出し、チーム全体の多様性や包括性を確立し、ひとつのマイクロソフトとして協力し合うこと。われわれは共に、素晴らしいものを達成できた」と書いている。

ナデラのコミュニケーションは首尾一貫している。彼は首尾一貫したビジョンが、共通の目的へ向かう従業員の意識を高めることを理解しているのだ。

3. “3のルール”を守る

3のルールとは、人は通常、3~4つのかたまりで物事を考えることを表す。リストアップされた項目が多すぎると、それに対応している間にリストの全体像を忘れてしまう。メールでナデラは、1つの短い段落に3つのポイントを入れ込み、クラウドを基盤とした会社の将来のビジョンを明確に示した。とても簡潔な表現かつ、短い数文で構成された文章だ。

「この1年、われわれはインテリジェント・クラウドとインテリジェント・エッジがイノベーションの次の段階をどのように形作るか、についてのビジョンを共有してきた。まず、コンピューティングはよりパワフルになり、クラウドからエッジに至るまでユビキタス化する。次にAIは、世界のデータと知識に後押しされ、知覚と認知の能力が急速に進化している。最後に、実際の世界とバーチャルな世界が一体化し、人々が使う物、行く場所、そしてその活動や関係など、人々を取り巻くコンテキストを理解するより豊かな体験を作り出している」

ナデラはキャリアの初期段階で、素晴らしい組織は明確なビジョンの上に成り立つことを学んでいた。「リーダーシップとは、選択し、チームを結集すること」とナデラは言う。彼は、マイクロソフトの将来についての選択をした。次に、その目標に向かってチームを結集することが、ビジョンを現実にするための重要なステップとなる。

編集=遠藤宗生

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