キャリア・教育

2018.04.11 12:00

マイクロソフトCEOに学ぶ、優れたリーダーのコミュニケーション術

マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(Photo by Stephen Brashear/Getty Images)

マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(Photo by Stephen Brashear/Getty Images)

マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)のリーダーシップやビジネスに対する見方を変えた、ある一冊の本がある。スタンフォード大学の著名心理学者、キャロル・ドゥエック教授が著した『マインドセット「やればできる!」の研究』だ。

2006年に出版された同書の中でドゥエックは、“しなやかマインドセット”を持つ習慣について探求している。“しなやかマインドセット”とは、私たちの潜在能力はとどまることを知らないという考え方だ。人は皆学び、成長する。これは、リーダーシップや成功に対する革命的なアプローチだ。

ドゥエックは、ビジネス・スポーツ・芸術の分野で成功した人々の特徴として、駆け出しは比較的平凡だったものの、自分には学習と改善の可能性があると信じていたと論じている。

“硬直マインドセット”を持つ人は、知性やスキルといった自分の特性は変わることはないと考える。自分がより良い人間になれるとは考えないため、成長できない。

一方、“しなやかマインドセット”を持つ人は、自分はより賢く、より良いリーダーに、そしてもっとイノベーティブになれると信じており、学ぶことに夢中だ。つまり、考え方を変えれば人生も変わる。

ナデラは自身の著書『Hit Refresh(ヒット リフレッシュ)』の中で、“しなやかマインドセット”を24回も引用している。ナデラによれば、成功者は“全てを学ぶ”人間であり、“全てを知る”人間ではない。ナデラは、硬直マインドセットは人の成長を制限し、しなやかマインドセットは人や組織を前進させる、と信じている。

ナデラは、ただ自著の中でこのコンセプトを紹介するだけでなく、一般向け講演や社内全体に向けたメッセージで何度も引き合いに出している。彼は、会社を導くための不変のビジョンと首尾一貫したアプローチを、明確に打ち出している。マイクロソフトの12万人の従業員は皆、CEOの信念や世界観、彼の望む会社の方向性を理解している。

ナデラは自著の中で、2014年にマイクロソフトCEOに就任した時、従業員には“明確で確実かつ、インスピレーションを与えるビジョン”が必要だと認識したと述べている。彼は、自分のビジョンと世界観を明確かつ頻繁に伝えようと決めた。ナデラの著書や、クラウドを基盤とした未来に焦点を当てるマイクロソフトの方針に関する最近のメールを見ると、彼がどのように自身のビジョンを効果的に伝えているのかがわかる。
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編集=遠藤宗生

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