ビジネス

2018.04.13 10:00

日本人が知らない中国Eコマース新勢力「拼多多」の戦略


テンセントも出資に参加

インターネットとECの地方への普及を背景に、拼多多の成長は今後も継続すると見られている。中国ネットワークインフォメーションセンターによると、2017年の中国のインターネット利用者は7億7200万人だという。普及率は56%と米国の85%を大きく下回るが、小売全体に占めるEC比率は現状の17%から2020年までに25%に達するとゴールドマン・サックスは予測している。

「人口増加によって拼多多の成長は継続するだろう」とAnalysys Internationalのアナリスト、Wang Hui’eは話す。投資家も拼多多に熱い視線を送っている。同社のウェブサイトによると、2016年に評価額15億ドルで1億1000万ドルを調達したという。出資者の中には、中国の投資銀行「Banyan Capital」やテンセントが含まれる。テンセント自身も地方の市町村にリーチを拡大することを目指している。

収益化には苦戦の拼多多

上海に本拠を置く「86 Research」のアナリスト、Wang Xiaoyanは、拼多多の課題は最適なマネタイズ手法を確立できていないことだと指摘する。アリババはアプリ内の広告やペイドサーチで収益を上げているが、拼多多はマーチャントにこのようなフィーを課しておらず、アルゴリズムを使ってユーザーごとに最適な商品を表示している。同社はトランザクションごとに手数料を得ているが、商品単価が安く大した金額にはなっていない。

Wangによると、顧客一人当たりの年間購入金額は50ドルで、アリババの1300ドルやJD.comの500ドルを大幅に下回る。

「拼多多が低価格商品に特化する限り、今後もマネタイズは困難だろう」と彼女は話す。

また、ここにきてアリババも反撃に出ている。同社は、拼多多のように商品を安くまとめ買いできる新サービス「Taobao Tejia」を3月にリリースした。

腐ったフルーツなどに苦情も

「拼多多の急激な普及にアリババは驚いている。これ以上の成長を食い止めるために対抗策を講じるに違いない」とWangは話す。

もう一つ拼多多を悩ませているのが、偽物や不良品の問題だ。「中国Eコマース調査センター」が2016年に実施した調査によると、中国のECトップ25社に提出された消費者の苦情のうち、13.2%は拼多多に対するものだったという。

クレームの内容は、粗悪品や腐ったフルーツ、返金対応の悪さなどだった。拼多多の広報担当者は、2017年に問題の発覚した1000万件のリスティングを削除し、消費者への補償対策として2400万ドルの基金を設立したことを明らかにした。

しかし、それでも問題は完全に解決していない。「商品の品質管理は、拼多多にとって非常に重要な課題だ。良質な商品が揃えられなければユーザーは継続利用をせず、事業の成長が困難になるだろう」とベイン・アンド・カンパニーのDingは述べた。

編集=上田裕資

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