数々の受賞歴をもつ、国際的なデザインコンサルティング会社


5. ポテンシャルを生かすために、自由にスペースを活用する

社員のクリエイティビティを開花させたいのであれば、オフィスのなかにそれを可能にするスペースを創るべきだ。IDEO Tokyoでは、それぞれのデザイナーたちに“クリエイティビティを最大化させる場所”を自らデザインする自由を与えている。それも、予め申請する必要はない。「事前に許可を求めるのではなく、あとで赦しを乞え」というのが、IDEOの社員がよく上司から言われる言葉だ。

そのため、移転してまだ1か月だが、新オフィスはすでに様々な場所が社員たちの手によって活気づいている。プロジェクトルームは、それぞれの課題に熱中できるよう各メンバーたちによってデザインされており、あるチームは、会社全体からアイデアを集めるために、部屋の入り口の大きなガラスの窓をブレスト用のウォールにした。皆そこを通るたび、新たなアイデアを書き込んだり、投票したりする。



別のチームは、「新たな職場体験を考える」というプロジェクトのために、オフィスの随所にモーションセンサーを設置し、皆が集まるキッチンと各プロジェクトルームとの距離を測ったり、オフィス内のどこにどのくらい自然光が入っているかを計る実験をしている。

また、2階のロフトがランチ後の瞑想スペースに使われたり、多目的スペースが金曜の夜にはカラオケルームになったりもする。こうしたすべてのアイデアは、社員たちから生まれたもので、私たちのクリエイティブな社風に貢献するだけでなく、全員が主体的になれる風土をつくっている。これは極めて重要なことだと私たちは考えている。

6. オフィススペースは「ハードウェア」ではなく「ソフトウェア」

オフィスは、一回つくったらそのまま5年、10年先まで使い続けてもらうようなものではない。ソフトウェアのように、常に進化成長し続け、時の流れに合わせてしばしば「アップグレード」されなければならない。IDEO Tokyoでは、オフィスが決して完成することなく、時間の経過とともに変わりつづけることを皆が心地よく感じている。

ソフトウェアのアジャイル開発のように、最初から完全なものをデザインするのではなく、デザインスプリント(短い期間で高速にプロトタイピングと検証を行うプロセス)やイタレーション(短い間隔で反復しながら行われる開発サイクル)をしながら、「Minimal Viable Space(必要最小限の機能をもったスペース)」を創っていく。そして、週次で社員から課題やリクエストを募り、常に学びながら改善し続ける。



当初から、私たちは新オフィスの70%しかデザインしていなかった。社員が不自由なく使える最低限の設計は用意したものの、残り30%は、あえていかようにもできる未完成の状態にした。人々がこの空間をどう使っているかを注意深く観察しながら、この30%の空間をどうするか決めていくのだ。

職場のデザインがうまくいくかどうかは、事業の将来的なニーズに応じて、そのスペースのあり方が可変かどうかにかかっている。

文=ダヴィデ・アニェッリ、マイケル・ペン

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