数々の受賞歴をもつ、国際的なデザインコンサルティング会社


2. クリエイティビティを育てる職場は、多様な働き方に対応する

イノベーションのプロセスは、アイデアが拡散するフェーズと収束するフェーズの繰り返しだ。人々が働く場所も、こうした異なるフェーズをサポートする場である必要がある。

IDEO Tokyoのデザイナーたちは勤務スタイルがかなりフレキシブルだ。例えばある日は、プロジェクト毎の個室ミーティングから始まり、その後電話会議のためにフォーンブースに籠ったり、カウンターで作業に集中したりする。クライアントが訪れれば、会議室やオープンスペースでディスカッションを行い、1日の終わりに向けてまたプロジェクトルームに集ってチームで作業する、といった具合だ。



また、子供がいるデザイナーが多いチームは、1日のスタートの時間を遅めにするなど、各人のバックグラウンドに応じてプロジェクトリーダーが柔軟に働き方を管理している。

社員のクリエイティビティを開花させたいのであれば、彼らを1日中同じデスクに拘束してはいけない。彼らの様々な「モード」に対応できる職場を創り、自由に発想する余白を与えよう。

3. クリエイティブな職場は「偶発的な出会い」のためにデザインされている

職場の雰囲気次第で、組織のクリエイティビティが開花するかどうかが決まる、といっても過言ではない。もしイノベーションの妨げとなるようなヒエラルキーがあって、それを壊したいのであれば、職場のデザインから見直すのが良いだろう。ポジションや所属に関係なく人々が集まり、互いにアイデアを共有する環境は、意図的に創らなければなかなか実現しない。

世界中のIDEOのすべての拠点では、“オフィスの中でもっとも居心地と環境の良いスペース”を、誰でも使える場所にしてある。また同時に、自然と人が集まれる場を多く設けている。IDEO Tokyoも例外ではない。

私たちの新オフィスの中でもっとも広く、訪問者をあっと言わせるスペースに、吹き抜けで自然光が降り注ぐ、全面ガラス張りで眺めのいい場所がある。そしてそのスペースは、エグゼクティブなど誰か専用の部屋ではなく、クライアントとのミーティングやワークショップ、社員全員参加の定例会議や”Lunch’n’Learn(皆で昼食をとりながら、互いのプロジェクトをシェアし学び合うセッション)”など、多目的に使えるスペースとしている。

また、よりカジュアルに皆が集まれる場所として、大きなキッチンをオフィスの中央にデザインした。飲み物やおやつを取りに来たら居合わせた同僚と話がはずみ、しばらくそこで時間を過ごすという人も多い。最高のアイデアは、このような「たまたま」始まった会話から生まれることも、少なくないのだ。



4. オフィスのデザインは、“制約”があるほどクリエイティブになれる

オフィスをデザインするのは、簡単ではない。使えるスペース、予算、人的リソースなど制約があるかもしれないが、それは恐るべきものではなく、むしろ、試行錯誤しながらクリエイティブに課題解決をすることを促してくれる。制約は、創造を生むのだ。

IDEO Tokyoの移転は3回目になるが、都度数々の制約のなかでオフィススペースをデザインしなければならなかった。いつも、もっと予算があったら、もっと広かったら、もっと自由にやれたら……と悩みは尽きなかった。そして毎回も、どうしたら制約の範囲内でIDEOとしてのスタンダードを保てるか、考えさせられた。

例えば、新しい高価なコーヒーテーブルを購入する代わりに、旧オフィスのキッチンカウンターに使われていた板を半分にカットし、2階のロフトに置くローテーブルにした。また、構造上表に突き出たいくつもの柱によってデッドスペースとなっていた場所にいくつかの小さなフォンブースを設け、本来フロアプラン上は使い途のなかったスペースを機能的に活用した。(写真右上)

予算がなくても、狭い場所でも、工夫次第で誰もがクリエイティブに最高のオフィスをデザインすることができるはずだ。

文=ダヴィデ・アニェッリ、マイケル・ペン

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