ビジネス

2018.04.16

IDEO流「クリエイティブな職場」を創る7つのヒント

オフィスの中央には大きなキッチンをデザイン。居合わせた同僚と話がはずみ、そこでアイデアが生まれることも。

働く人々にとって、「職場」の選択肢が増えつつある。企業によっては在宅勤務を推奨し、コワーキングスペース、カフェなどでの勤務を認めるところも出てきている。

そんな中で、優秀な人材を集め、組織として成功するためには、働く人々がもっともクリエイティブになれて、最高の結果を出すことのできる環境を提供することが求められる。つまり、「職場」は素晴らしい仕事が生まれる場所でなければならないのだ。

ちょうど1か月前、IDEO Tokyoは表参道の交差点近くにオフィスを移転した。日本において働き方やワークスペースについて話題になっている今、私たちは改めて、人が毎日働く場所としての「職場」を創ることについて考えた。今回の記事では、IDEO Tokyoのマネジング・ディレクターのダヴィデ・アニェッリ(Davide Agnelli)とマイケル・ペン(Michael Peng)が、職場をもっとクリエイティブな場所にしたいと考えている組織にとって有効な“7つのヒント”を紹介する。
 
1. 職場は、ビジョンやミッションを表現する手段のひとつ

オフィスは、組織のボディランゲージだ。そこで働く人にはもちろん、訪れるクライアント、周辺のコミュニティに伝えたいことが示されていなければならない。

IDEO Tokyoは、クリエイティビティを通じて「日本の変化の触媒」となることをミッションとして掲げている。畑の異なる多様なバックグラウンドの人々を繋ぐ場を創ることで、職種や組織の規模を問わず、分野横断的なコラボレーションのきっかけとなっていく。その変化の中心となるのは、もちろん「人」だ。

 IDEOのオフィス内には、目的に応じてフレキシブルにアレンジできる広い空間を設けており、時にここはミッションを象徴する場として活用される。例えば昨年末には(旧IDEO Tokyoオフィスにて)100人規模のイベントを開催。様々な分野で活躍するクリエイターたちを招き、彼らが新たなアイデアやコンセプトを生み出すために、日頃どのようにインスピレーションを得ているかを話してもらった。

また、こうした畑違いのコラボレーションに加え、今後は私たちの畑の数も増やしていく必要があると考え、今回の移転に際しては2年前にローンチしたVC「D4V(Design for Ventures)」も同じフロアに招き入れた。ベンチャーの育成、事業のスケールに秀でたメンバーが入ることで、新たなクリエイティビティの化学反応を生じさせることが目的だ。マーケットへの展開が早いスタートアップの支援は、大企業との仕事がメインになっているIDEOのデザイナー達のバージョンアップにもつながる。



もちろん、目に見える形で組織のあり方を示すことも重要だ。オフィスの随所には、「Talk Less, Do More(議論するより手を動かせ)」「Make Others Successful(仲間の成功を助けよう)」など、IDEO全社で共有するバリューをネオンサインとして飾り、IDEOがこうしたマインドセットや価値観を大切にする会社であることを伝えている。

こうした試みすべてが、私たちにとって「職場のデザイン」なのだ。
次ページ > 「偶発的な出会い」のためにデザインする

文=ダヴィデ・アニェッリ、マイケル・ペン

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事