伊藤穰一が提唱した、「BIとAI」の二元論

JoeZ / Shutterstock.com


AI時代に必要なものは「答え」ではなく「問い」である

ジョーイのBI、AIの説明に対して、いくつかのアイデアを提唱したい。

BI、AIを簡易的に図示すると何だろうか? BIは右肩上がりの直線、AIは右肩上がりの指数関数曲線。つまりエクスポネンシャルとなるのではないだろうか?



BIでは成功確率は高いが、アップサイドが低い。一方、AIでは成功確率は低いが、アップサイドが高い。したがって、BIとAIとでは、それぞれ成功するために必要な心構えやアプローチが異なるのだ。

BIの時代では、ゴールが明確なため、山登りのように決められた道を通って目的地を目指す。この時代には、問いではなく、正しい答えを導くことが重要で、この時代に有効なアプローチは論理的思考だ。

AIの時代では、物事が複雑なため、刻々と状況が変わる。そのため、明確な目的地さえも分からず、波乗りするように、試行錯誤を繰り返していくしかない。この時代には、正しい答えなど存在しない。むしろ、何を問うか、こそが重要になってくるのだ。

では、AIの時代に有効なアプローチは、何なのか? 私はそれがデザイン思考なのだと考えている。デザイン思考については、また改めて書きたいと思う。

話をジョーイの新書「教養としてのテクノロジー」に戻そう。この本は、正しい「答え」を知ることこそが正しいこと、と教え込まれたBIの価値観から抜け出せない人には、あまり価値を見出せない本かもしれない。

なぜなら、本書には明確な答えや結論が書かれていないからだ。しかし、AIのマインドセットでありたいとする人には、非常に参考になるはずだ。なぜなら、この本は今の時代に必要な「重要な問い」を投げかけているからだ。AIの時代がさらに進み、テクノロジーを教養のひとつとして考えるべき時代に、何を問うべきなのかを私たち一人ひとりが考えていきたいものだ。

文=琴章憲

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事